宮体(読み)きゅうたい(その他表記)Gong-ti

精選版 日本国語大辞典 「宮体」の意味・読み・例文・類語

きゅう‐たい【宮体】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 中国、六朝末期に流行した詩で、艷情をうたった官能的な詩風のもの。梁の簡文帝東宮にあったとき、好んでつくったのが、一般化したところからいう。
    1. [初出の実例]「文選の撰あり梁朝の如きは〈略〉句をねり巧を争ひて而も軽靡尤も甚し。称して宮体といふ」(出典:我国の文芸に現はれたる国民思想の変遷(1950)〈藤岡作太郎〉一)
  3. きゅうたい(裘袋)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宮体」の意味・わかりやすい解説

宮体
きゅうたい
Gong-ti

中国,六朝時代末期に流行した詩体。梁の簡文帝が皇太子時代から側近徐陵庾肩吾らを東宮御所に集め,好んで官能的な詩をつくったのが,時代の好みに合致して一般にも流行したもの。形式は短い五言詩で,内容は江南民間で多く歌われた恋歌に近いものであったが,声律対句などに技巧を凝らした艶麗,淫靡な作品が多く,陳から初唐にかけて影響を与えた。宮廷文学の退廃的傾向極点といえる。作品は多く『玉台新詠』に収められている。

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普及版 字通 「宮体」の読み・字形・画数・意味

【宮体】きゆうたい

艶めかしい詩体。

字通「宮」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の宮体の言及

【詩】より

…南朝の詩の特色をよく表しているのは,南斉の謝朓(しやちよう)の作品である。南朝の詩は技巧面での発展につれて,繊細な感覚と精密な描写へと向かったが,梁代に至ると,簡文帝を中心とする〈宮体〉の詩人たちを生み出すことになる。〈宮体〉とは主として女性の美を詠じたもので,官能的退廃的な側面をもつものであった。…

【中国文学】より

…彼の詩の音調がのびやかで,読者に解放感をもたらすのは当然であろう。梁の簡文帝のころから起こった〈宮体〉の詩は,陳の滅亡(589)までさかんに作られる恋愛の詩で官能的な美を描く。《玉台新詠》は宮体詩を主とする選集であるが,唐以後も読者は少なくなく,早く日本にも伝わっている。…

※「宮体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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