強制執行をしてもその債務を弁済する資力のない債務者に対して,裁判所が家資分散者である旨を宣告し公示する制度。フランスのデコンフィチュールdéconfitureに倣い1890年の家資分散法により制定され1922年の現行破産法によって廃止されるまで行われた。家資分散の対象は,当時の破産制度(1890公布,1893施行の旧商法破産編)が破産宣告の対象を商人に限っていたこと(いわゆる商人破産主義)に対応して,こちらは非商人とするというのが立法者の考えであったようであるが,実際には商人についても行われた。家資分散は,破産と違って,債務者の財産の管理処分権を奪ったり,宣告に続いてその総財産を強制的に換価することを予定したものではなく,その機能は主として家資分散者であることを公示することにあった。ただ,家資分散者は選挙権等の公権を喪失し,これは債権者全員に弁済しなければ復権しなかった。
執筆者:青山 善充
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