家資分散(読み)かしぶんさん

精選版 日本国語大辞典 「家資分散」の意味・読み・例文・類語

かし‐ぶんさん【家資分散】

  1. 〘 名詞 〙 債務者強制執行を受けて弁済資力のなくなった状態、および裁判所によるその宣告現行破産法施行とともに廃止
    1. [初出の実例]「家資分散の際其財産を蔵匿・脱漏し又は虚偽の負債を増加したる者は二月以上四年以下の重禁錮に処す」(出典:太政官布告第三六号‐明治一三年(1880)三八八条)

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改訂新版 世界大百科事典 「家資分散」の意味・わかりやすい解説

家資分散 (かしぶんさん)

強制執行をしてもその債務を弁済する資力のない債務者に対して,裁判所が家資分散者である旨を宣告し公示する制度。フランスのデコンフィチュールdéconfitureに倣い1890年の家資分散法により制定され1922年の現行破産法によって廃止されるまで行われた。家資分散の対象は,当時の破産制度(1890公布,1893施行の旧商法破産編)が破産宣告の対象を商人に限っていたこと(いわゆる商人破産主義)に対応して,こちらは非商人とするというのが立法者の考えであったようであるが,実際には商人についても行われた。家資分散は,破産と違って,債務者の財産の管理処分権を奪ったり,宣告に続いてその総財産を強制的に換価することを予定したものではなく,その機能は主として家資分散者であることを公示することにあった。ただ,家資分散者は選挙権等の公権を喪失し,これは債権者全員に弁済しなければ復権しなかった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「家資分散」の意味・わかりやすい解説

家資分散
かしぶんさん

現在の破産制度の前身。家資分散法 (明治 23年法律 69号) によって創設されたものであり,それ以前の「身代限」とか「分散」とか呼ばれた慣習法的制度に代ったものである。家資分散の制度は,商人以外の一般人に妥当するものであって,商人については旧商法が破産の制度を規定していた。この2つを統合したものが現行の破産法である。

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