予定説(読み)ヨテイセツ

デジタル大辞泉 「予定説」の意味・読み・例文・類語

よてい‐せつ【予定説】

キリスト教教理の一。人が救われるのは、人間意志能力によるのではなく、全く神の自由な恩恵に基づくという聖書の教理。パウロからアウグスティヌスを経てカルバン救済滅亡の二重予定説に至る。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「予定説」の意味・読み・例文・類語

よてい‐せつ【予定説】

  1. 〘 名詞 〙
  2. キリスト教神学で、個々の人間が救われるか滅びるかはあらかじめ定められているとする説。アウグスティヌス、カルバンなどが主張した。
  3. すべての出来事は、自由な意志や行為をも含めて、あらかじめ決定されているとする説。アウグスティヌス、スピノザなどが主張した。
    1. [初出の実例]「私が幼時から人生に対して抱いてゐた観念は、アウグスティヌス風な予定説の線を外れることがたえてなかった」(出典:仮面の告白(1949)〈三島由紀夫〉一)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

山川 世界史小辞典 改訂新版 「予定説」の解説

予定説(よていせつ)
Prädestinationslehre

人間の救いは,まったく神の一方的な,予定された意志に依存するとなすキリスト教の教義。すでに後期スコラ派のウィリアム(オッカムの)神学に現れているが,ルターの不自由意志説をへて,カルヴァンもとでとりわけ鋭い形をとった。それは神の至上権を力説する彼の教義の論理的帰結ではあるが,その場合人間の倫理的責任は決して和らげられることなく,神意への絶対服従にこそ真の自由があると説かれた。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

旺文社世界史事典 三訂版 「予定説」の解説

予定説
よていせつ
predestination

キリスト教神学説の1つ
魂の救済は,人間の意志によるのではなく,神によってあらかじめ定められているとする考え。教父アウグスティヌスやカルヴァンが代表者。特にカルヴァンが徹底させた説として有名。カルヴァン派の信徒は,救いに選ばれた者は信仰勤労によって証明しなければならず,現世仕事に成功することが救いに選ばれたしるしと信じた。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「予定説」の意味・わかりやすい解説

予定説
よていせつ

予定論

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android