富村(読み)とびむら

日本歴史地名大系 「富村」の解説

富村
とびむら

[現在地名]斐川町富村

斐伊川右岸の水田地帯にあり、東は上直江かみなおえ村、南西は千家せんげ村、西は北島きたじま村。山陰道が上直江村から南の求院ぐい村へ通る。杵築大社(出雲大社)領と松江藩領。初め神門かんど郡に属した。寛永一五年(一六三八)松江藩は神門郡内富村の高一千一〇石余を含む二千七三〇石を杵築大社に寄進、同一八年には月照院(松平直政の生母)が当村のうち九石八斗余を寄進している(山田氏蔵文書)。当村は「社領三ケ村」として北島・千家両村と同様特別な地位をもち、千家・北島両国造家との仲介役として下代が置かれ、庄屋・年寄を統括していた。租米は杵築(現大社町)と松江へ輸送された。社領地は明治四年(一八七一)上地になった。南北朝期に出雲国造家が千家家と北島家に分れたため、当村も二つに分割された。西分が大社・千家領、北分が大社・北島領で、残りわずかが藩領となる。藩領と西分に庄屋一人・年寄二人、北分に庄屋一人・年寄二人が置かれた。


富村
とみむら

[現在地名]瀬峰町大里おおさと

藤沢ふじさわ村の南、小山田おやまだ川沿いに立地する。同川は東流して蕪栗かぶくり(現遠田郡田尻町)に注ぎ、その流域は低湿地帯であった。往古より地味豊かなるゆえの村名とも伝え、前九年の役で源頼義が当地に旗塚をつくり、四壇・太田方面の友軍と連絡し、安倍軍を遠見したので、遠見とおみが富となったという伝説もある。「貞山公治家記録」天正一九年(一五九一)六月二八日条に、葛西大崎一揆の際、栗原郡富村の旧葛西氏家臣富左馬允が伊達政宗に味方したとあるが、この富村が当村であるという説が有力である。


富村
とみそん

面積:七六・五六平方キロ

苫田郡西端に位置し、吉井川流域にあたる他の苫田郡の町村と異なり、旭川の支流目木めき川流域にある山村。周囲を不溜山たまらずせん(一一二四・六メートル)乗幸のりさち(一一七二メートル)入道にゆうどう(一〇四〇・二メートル)あられせん(一〇七四・二メートル)の高山に取囲まれ、中央部に大空おおぞら(一一〇三・七メートル)の山塊がある。


富村
とみむら

[現在地名]築館町 黒瀬くろせ沖富おきとみ・同百目木どめき・同宮下みやした・同鹿島前かしままえ・同後畑うしろばた・同天王前てんのうまえ・同天神前てんじんまえ蟹沢熊かにさわくま・同力石ちからいしなど

城生野じようの村の北、二迫にのはさま川両岸に立地する。同川沿いの西に端郷の黒瀬があり、北東はくま川を挟んで姉歯あねわ(現金成町)正保郷帳に二迫の富村とあり、田八六貫八八二文・畑一九貫一六一文で、水損・旱損と注され、ほかに新田一〇貫七文。


富村
とみむら

[現在地名]泗水町吉富よしどみ

村吉むらよし村の西にあり、集落は花房はなぶさ台地の南縁に位置する。観応三年(一三五二)二月写の天満宮安楽寺領目録(太宰府神社文書)に「富庄同之」とみえ、太宰府天満宮領であったことがわかる。なお富庄の添書「同之」は「凶徒押領之」を表現するもので、「凶徒」とは菊池武光ら肥後の南朝方勢力をさす。慶長九年(一六〇四)九月の検地帳によると、屋敷数二七、屋敷持二四、田二四町六反五畝余、畠・屋敷六六町三反三畝、分米七三六石一斗余。寛永一〇年(一六三三)人畜改帳によると、永村組に属し、戸数二〇・家数一五二(うち空家二)、人数一八三(うち名子二〇・下人六)、牛馬四九。持高をみると、六四石五斗余の庄屋吉左衛門を最高に、六〇石台一戸・五〇石台一戸・四〇石台五戸・三〇石台五戸・二〇石台四戸・一〇石台一戸・無高二戸である。


富村
とみむら

[現在地名]庄内町柿原かきはる

大分川と阿蘇野あその川に挟まれた河岸段丘上にあり、西は大分川沿いの瓜生田うりゆうだ村。江戸時代を通じて府内藩領で、奥郷野畑組に属した(府内藩記録)。正保郷帳に村名がみえ田高一三石余・畑高五五石余、阿南あなん庄に所属。元禄一〇年(一六九七)の府内領郷帳(府内藩記録)によると高一二九石余。旧高旧領取調帳では高一四六石余。愛宕社と、藩主日根野氏が慶安二年(一六四九)永宝えいほう水を開削した際勧請したと伝え、天和四年(一六八四)再営の若宮社があった(「雉城雑誌」など)


富村
とみむら

[現在地名]前原市富

有田ありた村の西に位置し、西は多久たく村、南は香力こうりき村。寛文四年(一六六四)の肥前唐津藩主大久保忠職の領知目録(寛文朱印留)にみえる鴟村は当村にあたるとみられる。領主の変遷は神在かみあり村と同じ。元禄国絵図では高四八二石余。天保三年(一八三二)の中津藩領郷村高帳下書では高四八四石余、うち宝暦九年(一七五九)から文化元年(一八〇四)までの出高一石余。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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