寺院に等級を設けて格式を区別すること。古代では,官寺の内に大寺,国分寺,定額寺があった。平安朝に門跡寺院が生ずると,宮門跡,摂家門跡,准門跡,脇門跡などの寺格が生じ,またそれらの下に院家,准院家などが成立した。これらは,国家,朝廷における序列であるが,中世には,鎌倉・室町両幕府が臨済宗寺院を五山,十刹,諸山,林下に区分したことから,諸宗派内部の序列・格式としての寺格が成立する。近世に各宗派教団が確立すると,この傾向は著しくなり,多様な寺格が制定された。曹洞宗では別格寺院を常恒会,片法幢会,随意会に,法地(普通寺院)を一~四に分け,その下に平僧地があった。真宗では院家,内陣,余間,飛檐,平僧に区分したのに始まり,きわめて複雑な寺格が定められ,礼金によって昇進することができた。明治維新後,それらは整理単純化されたが,現在も各宗教団に用いられている。
執筆者:大桑 斉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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