封建的土地所有(読み)ほうけんてきとちしょゆう(その他表記)feudal tenure

百科事典マイペディア 「封建的土地所有」の意味・わかりやすい解説

封建的土地所有【ほうけんてきとちしょゆう】

封建領主経済外的強制により農民土地に縛りつけ,剰余労働封建地代として搾取する土地所有形態。農民は土地の保有耕作権をもつだけで,領主の身分的・人格的支配を受ける。生産力の発展地代転化(労働→現物貨幣地代)につれて農民の人格的・経済的独立性が強まり,やがて農民的土地所有や独立自営農民ヨーマン)が形成され,市民革命によって封建的土地所有は解体する。
→関連項目地主資本家的土地所有

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「封建的土地所有」の意味・わかりやすい解説

封建的土地所有
ほうけんてきとちしょゆう
feudal tenure

封建社会の基礎にある土地所有の形態。封建領主が土地を所有し,農民は土地を保有はするが農奴として土地に縛りつけられ,経済外的強制によって領主は農民からその全剰余労働を封建地代として徴収する。農民は土地および生産手段を保有するという点で奴隷制的土地所有とは異なるが,領主的強制によって地代を領主に徴収されるという点で近代的土地所有と異なる。封建的土地所有は生産力の発展による農民層の分解農民一揆などにより次第に弱体化する。イギリスでは 11世紀初め頃より成立し,15~16世紀の独立自営農民の台頭により事実上解体し,フランスではカロリング朝時代のフランク王国で成立し,フランス革命によって廃棄された。しかし,東欧,ロシアなどでは 19世紀にいたってもその関係は残存したといわれる。また,日本では第2次世界大戦前の地主,小作関係をめぐって封建的土地所有か否かの論争がある。

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世界大百科事典(旧版)内の封建的土地所有の言及

【土地所有】より

…〈土地所有〉は,そのような人間と土地との結びつき方の一つであるが,歴史的にみれば,社会の発展段階に照応するさまざまな形態がある。それらを世界史的視点からおおまかに分けてみるならば,(1)(原始)共同体的土地所有,(2)奴隷制的土地所有,(3)封建的土地所有,(4)農民的土地所有,(5)近代的土地所有,(6)社会主義的土地公有の六つになる。 (1)および(6)は,土地が社会全体の所有に属し,特定の個人もしくは団体のものではないという意味では,むしろ〈所有〉ではないといってもよい。…

※「封建的土地所有」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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