将来人口(読み)しょうらいじんこう(その他表記)future population

改訂新版 世界大百科事典 「将来人口」の意味・わかりやすい解説

将来人口 (しょうらいじんこう)
future population

ある国,ある地域,あるいは世界等の将来予測される人口をいう。将来人口がどのように変化していくかを知ることは,中央政府や地方公共団体にとってのみならず,民間企業にとってもその将来計画策定のための最も重要な基本条件である。このような将来人口を測定することを将来人口推計という。人口推計には,このような将来人口のみでなく,人口調査以前の人口や人口調査後の人口を推計する場合がある。日本語では,いずれの場合も人口推計といっているが,英語では,後者の場合をpopulation estimateとよび,将来人口の推計(projectionまたはproject)とは区別している。日本語でも将来人口推計を人口投影として区別することもあるが,一般にはすべて人口推計とよんでいる。

 将来人口推計は,通常,将来人口の大きさ,男女別,年齢別人口が計算される。この推計に用いられる最も一般的な方法は,人口変動の要因である出生率,死亡率および移動率のそれぞれについて特定仮定を設けて,これを将来に延長するものであって,これは要因別延長推計法component projectionsとよばれる。この方法のなかでも,とくに一般的に用いられる方法は,コーホート要因法cohort-component methodsである。これは,ある基準年次の男女年齢別人口を出発点として,これに仮定された生残率(死亡率の反対)と出生率(また,必要な場合には移動率も)を適用して将来人口を計算する方法である。この場合,生残率と出生率は,将来一定不変であると仮定される場合と,ある方向への変化を考慮して仮定される場合がある。出生率の推定は難しいため,その仮定のおき方で将来人口に大きな差異を生ずることになる。最近では,人口移動の影響を受けやすい部分人口(たとえば地方,県,市)の推計,さらに労働力人口や世帯数といった特殊推計が行われるようになった。また,今までの人口推計における人口要因だけの仮定に限定しないで,人口要因に影響を与える経済的・社会的要因の変化をも考慮して,将来人口の推計を行うことも試みられるようになった。日本の将来人口推計については,第2次大戦前では上田貞次郎,中川友長によるものがあり,戦後は厚生省人口問題研究所においてもっぱら行われてきた。最近では,同研究所推計以外に,安川正彬推計や日本大学人口研究所推計等が発表されるようになった。また世界の人口の推計については,国際連合地球をいくつかの地域に分割して将来人口の推計を行っている。
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百科事典マイペディア 「将来人口」の意味・わかりやすい解説

将来人口【しょうらいじんこう】

将来に予測される人口のこと。ふつうは既存人口統計から推計したもの。比較的近い将来についての将来人口の予測と,特定の仮定に基づき,それをさらに延長した将来人口の投影がある。1992年に厚生省人口問題研究所が行った日本人口の将来推計によると,2000年に1億2739万人,2011年1億3044万人でピークを迎え,以後は減少を続けると見込まれている。ちなみに,1998年の日本の人口は1億2556万人であった。また国連の推計によると,2010年の世界人口は68億9077万人,2030年では83億7160万人が見込まれている。

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