大正・昭和期の日本画家,挿絵画家
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報
日本画家。埼玉県川越に生まれる。本名泰助。4歳のとき父を失い、小学校高等科を卒業後上京して、外務省の役人安並賢輔宅に書生として住み込みながら勉強し、1908年(明治41)に東京美術学校を卒業。この年より約3年間国華社に勤め、口絵の原画の模写の仕事をした。翌年、安並家の養嗣子(ようしし)となる。国華社に勤務のころより泉鏡花と親交を結び、鏡花の多くの作品の装丁を行う。また19年(大正8)より4年間、資生堂意匠部に勤務した。その後新聞・雑誌の挿絵を描くほか、母校に委嘱されて『北野天神縁起』などを模写した。35年(昭和10)国画院成立に際し同人となる。雪岱の展覧会作品はかならずしも多くないが、本の装丁や挿絵、また舞台や映画の美術考証や装置など、多方面に活躍した。その特色ある繊細な美人画は多くのファンをつくった。
[玉蟲玲子]
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出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
…茂兵衛を演じた6世菊五郎は,そのモデルに,自分のひいき力士の真砂石を当てたといわれる。初演の装置は小村雪岱で,とくに序幕〈安孫子屋店先の場〉が名装置とされる。終幕で,お蔦が茂兵衛のことを思いだすのは,茂兵衛が波一里儀十一味との立回りの際にみせた相撲の手を見るのをきっかけとする演出がよく行われる。…
… 大正末期から昭和初期にかけての〈挿絵の黄金時代〉は,新聞・雑誌メディアの大衆化,多様化とともに,こうした挿絵の芸術性が高められたことを背景としており,1935年には《名作挿画全集》が編まれるまでに至った。邦枝完二《お伝地獄》《おせん》の小村雪岱(1887‐1940),吉川英治《鳴門秘帖》および大仏次郎《赤穂浪士》の岩田専太郎(1901‐74),永井荷風《濹東綺譚》の木村荘八はじめ,太田三郎,田中良,河野通勢,小田富弥,山川秀峰,中村貞以,中村岳陵,林唯一,小林秀恒,志村立美,堂本印象,矢野橋村,藤田嗣治,佐野繁次郎,宮本三郎,小出楢重ら,日本画家,洋画家,挿絵専門家が入り乱れて活躍することになる。また文学のジャンルも多様化し,〈探偵小説〉が大正末からブームを興すと,《新青年》を中心に,竹中英太郎,茂田井武,横山隆一,松野一夫,吉田貫三郎らが筆をふるった。…
※「小村雪岱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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