尾去沢石(読み)おさりざわいし(その他表記)osarizawaite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「尾去沢石」の意味・わかりやすい解説

尾去沢石
おさりざわいし
osarizawaite

硫酸塩鉱物の一つ。1961年(昭和36)田口靖郎(やすろう)によって秋田県尾去沢鉱山閉山)から記載された新鉱物。同鉱山の銅・亜鉛熱水鉱脈鉱床の酸化帯中に産する。田口の記載の直後、西オーストラリアのエドガーEdgar鉱山からも同一鉱物が発見されたが、日本のものが先に発表されていたため、この鉱物名が採用された。ビーバー石アルミニウム(Al)置換体に相当する。自形はきわめて微細な六角板状あるいは菱(りょう)面体で、電子顕微鏡下で観察される。命名原産地にちなむ。

加藤 昭 2016年1月19日]


尾去沢石(データノート)
おさりざわいしでーたのーと

尾去沢石
 英名    osarizawaite
 化学式   Pb(Al,Fe3+,Cu)3[(OH)3|SO4]2
 少量成分  Zn
 結晶系   三方
 硬度    粉末状のため未測定
 比重    4.17~4.20
 色     草緑~黄緑
 光沢    土状
 条痕    草緑~黄緑
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目を参照

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