日本大百科全書(ニッポニカ) 「上屋久」の意味・わかりやすい解説
上屋久
かみやく
鹿児島県南方洋上、熊毛郡(くまげぐん)にあった旧町名(上屋久町(ちょう))。現在は屋久島(やくしま)町の北部を占める。旧上屋久町は1958年(昭和33)町制施行。2007年(平成19)屋久町と合併し屋久島町となった。旧町域は屋久島の北半部と、屋久島の西方海上に位置する口永良部島(くちのえらぶじま)で、海岸部に平地をもつが、大部分は九州の最高峰宮之浦岳(みやのうらだけ)(1936メートル)をはじめとする1000メートル以上の山々を擁する山岳地であり、洋上アルプスともよばれる。中心の宮之浦港から鹿児島、種子島(たねがしま)、口永良部島へ毎日船便があり、屋久島空港からは鹿児島、福岡、大阪(伊丹)へ定期便が運航し、種子島へは不定期便がある。ポンカンや、柑橘(かんきつ)とオレンジの雑種タンカン、薬用作物(胃腸薬の原料)のガジュツが栽培されるほか、豊富な包蔵水力を利用して屋久島電工が家庭電力の供給を行う。亜熱帯から亜寒帯までの植物が垂直に分布し、観光客も多い。なお、西部の永田浜はアカウミガメ産卵地として知られ、2005年(平成17)に、ラムサール条約登録湿地となった。
[田島康弘]