日本大百科全書(ニッポニカ) 「山之内製薬」の意味・わかりやすい解説
山之内製薬
やまのうちせいやく
医家向け中心の医薬品大手メーカー。2005年(平成17)4月に藤沢薬品工業と合併しアステラス製薬となった。山之内製薬は1923年(大正12)大阪・江戸堀に山之内薬品商会として創業。1925年に神経痛・リウマチ治療剤「カンポリジン」を発売し、医薬品メーカーとしての基礎を築く。1939年(昭和14)に株式会社となり、40年山之内製薬と社名変更、42年に本拠を東京に移す。第二次世界大戦後の復興期には海外から積極的に技術を導入、新化学療法剤「サイアジン」、広範囲抗生物質「パラキシン」などを発売した。1964年(昭和39)板橋に中央研究所を開設、そこでの研究開発をもとに自社開発医薬品を続々と発売した。1980年代には自社研究開発から生まれた数々の新薬を世界各国で販売、86年に山之内アイルランド(現アステラスアイルランド)を設立。日本の製薬企業としてヨーロッパ初の原薬生産工場をアイルランドに建設、1988年より稼動している。1991年(平成3)にオランダのロイヤル・ヒスト・ブロカデス社の医薬品部門を買収、92年にアメリカの医薬品会社ロバーツ・ファーマシューティカル社に資本参加するなど、90年代にはヨーロッパ、アメリカ、アジアの3極で、研究開発から製造・販売にわたる体制づくりを進めた。2004年10月藤沢薬品工業と一般用医薬品事業を統合、新会社ゼファーマを発足させた。なお、2005年の合併後、ゼファーマはアステラス製薬の子会社となったが、翌年第一三共へ売却された。2004年の山之内製薬の資本金1001億円、売上高3454億円。
[中村青志]
『山之内製薬株式会社編・刊『山之内製薬50年史』(1975)』