山名満幸(読み)やまな・みつゆき

朝日日本歴史人物事典 「山名満幸」の解説

山名満幸

没年:応永1.3.10(1394.4.10)
生年:生年不詳
南北朝時代の武将。師義の子。義幸の弟。 弾 正 少弼,播磨守。兄義幸病弱のため代官として在京,室町幕府将軍足利義満にその才を認められ,至徳1/元中1(1384)年6月,義幸に代わって侍所頭人に抜擢された。翌年末,同職は土岐満貞に更迭されたが,同3年9月には再任され,また同じころ叔父山名氏清も山城守護に在任しているから,一時は叔父甥で山城一国の遵行検断を独占していたことになる。至徳2/元中2年7月には,やはり兄義幸が更迭されたあとを襲って丹後守護に補任され,翌年同国を義幸に返還する代わりに出雲守護を得た。明徳の乱(1391)直前には丹波守護をも取り戻している。明徳1/元中7年3月義満から従弟山名時煕・氏幸らの討伐を命ぜられ,氏幸の分国を制圧して伯耆,隠岐の守護を加えられたが,翌年秋,出雲横田荘の横領を咎められて出雲を失い,その憤懣から叔父氏清を唆して義満に背いたが山城内野で敗北。いったん山陰に逃れ,筑紫まで逃げたが,洛中五条高倉に潜伏中,侍所京極高詮により殺された。明徳の乱の張本人だが,その怯懦性格は『明徳記』に批判されている。

(今谷明)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「山名満幸」の意味・わかりやすい解説

山名満幸
やまなみつゆき
(?―1395)

南北朝時代の守護。父は師義(もろよし)。兄義幸(よしゆき)の病弱により、父師義の丹後(たんご)・出雲(いずも)守護職を継承した。しかし山名氏惣領(そうりょう)職は、師義、時義(ときよし)、時煕(ときひろ)と継承されたため、時煕との対立を深めた。山名一族の内紛に介入した将軍足利義満(あしかがよしみつ)は、1390年(元中7・明徳1)叔父氏清(うじきよ)と結んだ満幸に時煕・氏幸(うじゆき)らを討たせた。これにより満幸は、伯耆(ほうき)・隠岐(おき)守護職を獲得し、四か国の守護職をもつ大守護となった。しかし、まもなく仙洞料所(せんとうりょうしょ)の押領(おうりょう)などで義満と対立、翌91年氏清とともに義満に反して明徳(めいとく)の乱を起こしたが敗れ、95年(応永2)京都で京極高詮(きょうごくたかあきら)に殺された。

[田沼 睦]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「山名満幸」の意味・わかりやすい解説

山名満幸
やまなみつゆき

[生]?
[没]応永2(1395).3.10. 京都
南北朝時代の武将。播磨守。弾正少弼。師義の子。父師義の死後,山名氏の家督は時義,その後は時煕が継承したが,満幸はこれを不満として,叔父山名氏清を誘って,将軍足利義満に訴えた。義満はこの内紛を利用して,山名氏の勢力削減を策し,時煕の討伐を命じた。満幸,氏清は時煕を備前に追放,満幸は伯耆,隠岐の守護職を与えられた。しかし,まもなく義満と反目し,明徳の乱を起し,敗れて山陰に逃れた。応永2 (1395) 年京都の旧臣宅で,侍所所司京極高詮に誅された。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「山名満幸」の解説

山名満幸 やまな-みつゆき

?-1395 南北朝-室町時代の武将。
山名師義(もろよし)の4男。丹後,出雲(いずも)の守護。一族の内紛に介入した将軍足利義満の命で,山名氏清とともに山名時煕(ときひろ),山名氏幸を討って伯耆(ほうき),隠岐(おき)の守護職もえる。明徳2=元中8年仙洞(せんとう)料所の押領問題から氏清をさそって明徳の乱をおこし,応永2年3月10日京極高詮(たかのり)に討たれた。

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世界大百科事典(旧版)内の山名満幸の言及

【明徳の乱】より

…1391年(元中8∥明徳2)に山名氏清,山名満幸らが反幕府的行動を起こし,討たれた乱。山名氏は清和源氏新田氏の一族で,足利尊氏の挙兵に応じて活躍し,山陰地方を根拠として勢力を拡大した。…

【山名氏清】より

…南北朝時代の武将。時氏の第4子。丹波・和泉守護。時氏没後,兄の師義が家督を継ぐが,師義も死没して弟時義が惣領となる。1389年(元中6∥康応1)時義が没すると,将軍足利義満は俗に〈六分一衆〉と呼ばれるほど強大化した山名氏の内部分裂を画策し,氏清が生前の時義と不和であったのを利用して,まず氏清,満幸(氏清の女婿)に命じて時義の子時熙(ときひろ),氏幸を討たせ,時熙の分国但馬を氏清に与えるなどした。時熙らは備後に逃れた。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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