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山本文緒 ヤマモトフミオ

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デジタル大辞泉の解説

やまもと‐ふみお〔‐ふみを〕【山本文緒】

[1962~ ]小説家。神奈川の生まれ。ジュニア小説を中心に執筆活動に入るが、その後一般文芸に転向。割り切れない人間の心理を巧みに描く恋愛小説を意欲的に発表する。「プラナリア」で直木賞受賞。他に「ブルーもしくはブルー」「群青の夜の羽毛布」「恋愛中毒」など。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

山本文緒 やまもと-ふみお

1962- 平成時代の小説家。
昭和37年11月13日生まれ。ジュニア小説作家としてデビューし,おとな向けの作品を手がける。平成11年「恋愛中毒」で吉川英治文学新人賞,13年「プラナリア」で直木賞を受賞した。神奈川県出身。神奈川大卒。著作はほかに「日々是作文」「アカペラ」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

山本文緒
やまもとふみお
(1962― )

小説家。横浜市生まれ。神奈川大学経済学部卒業後会社員生活に入るが、1987年(昭和62)「プレミアムプールの日々」がコバルトノベル大賞佳作に入選。これを機に退職。またほぼ同時期に結婚し、執筆活動に専念、少女小説を中心に活躍する。
 88年最初の著書『きらきら星をあげよう』を刊行。その後、3年あまりの間に15冊ほどの少女小説を発表する。しかし、ちょうどそのころから少女小説市場が縮小の気配を見せ始め、仕事の依頼もしだいに減ってゆく。同時に結婚生活にも亀裂が生じ、1年間の別居期間を経て離婚。そのような状況のなか、92年(平成4)初の一般文芸作品『パイナップルの彼方(かなた)』を発表。ちょうど作者自身が書きたいものと、ジュニア小説の読者が求めるものとの乖離(かいり)が生じていた時期だったので、一般文芸への移行は絶好のタイミングでもあった。
 しかし、この後『ブルーもしくはブルー』(1992)、『きっと君は泣く』(1993)と続けて作品を発表するが、評判は良かったものの売り上げは伸びず、山本は次の『あなたには帰る家がある』(1994)が売れなかったら、専業作家は辞めて再就職する道を考えていたという。同作は、夫婦間の感情のすれ違いを描きながら、幸福な家庭のありよう、ひいては結婚そのものの意味を問う意欲的な恋愛小説であった。これが作品の評価、売り上げともに大成功を収める。その理由の一つとして、ジュニア小説での修業時代に刷り込まれた文体から脱し、ようやく自分の文体を確立できたことが挙げられよう。さらには、自身の体験から得たと思われる結婚観と、人間の心の不可思議さ――不安、恐怖、嫉妬、妄想、苦痛などを生み出す行き場のない心のさびしさを、白日のもとにさらけ出して見せる描写の巧みさがあった。これ以降、山本は『眠れるラプンツェル』『ブラック・ティー』『群青(ぐんじょう)の夜の羽毛布』(いずれも1995)と着実に恋愛小説作家としての地歩を固めてゆく。
 98年『恋愛中毒』により吉川英治文学新人賞を受賞。男女関係に限らず、人と人との付き合いにおける「距離」のとり方の難しさを、ストーカーという新しい題材に託して描いた力作だった。続いて2001年、フリーターや主婦など世間的には無職と呼ばれる人たちを描いた短編集『プラナリア』(2000)で第124回直木賞を受賞。ジュニア小説家から鮮やかな転身を果たした。[関口苑生]
『『プラナリア』(2000・文芸春秋) ▽『きらきら星をあげよう』『あなたには帰る家がある』(集英社文庫) ▽『パイナップルの彼方』『ブルーもしくはブルー』『きっと君は泣く』『ブラック・ティー』『恋愛中毒』(角川文庫) ▽『眠れるラプンツェル』『群青の夜の羽毛布』(幻冬舎文庫)』

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