山椒魚戦争(読み)サンショウウオセンソウ(その他表記)Válka s mloky

デジタル大辞泉 「山椒魚戦争」の意味・読み・例文・類語

さんしょううおせんそう〔サンセウうをセンサウ〕【山椒魚戦争】

原題、〈チェコVálka s mloky》チェコの劇作家小説家チャペックによるSF小説。1936年刊。人の言葉を理解する山椒魚人類社会に入り込み、やがて人類を支配するため、戦いを挑んでくるという物語。社会風刺随所にみられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「山椒魚戦争」の意味・わかりやすい解説

山椒魚戦争
さんしょううおせんそう
Válka s mloky

チェコの作家チャペックの長編小説。原題は『山椒魚との戦争』。1936年作。南洋で発見された特殊な能力をもつ山椒魚が、人間によって訓練され高度の知能を得、しだいに悪用されて国家間の戦争の道具にまでなる。やがて繁殖しすぎた山椒魚は、その生活圏の拡大を要求して人間との戦争になり、洪水をおこして人類を征服する。最後は作者の自問自答で「人間は敗れるが、山椒魚どうしの争いが続き、ついには彼らも全滅する。地球と人間は少しずつ復活し、新しい伝説が生まれるだろう。それから先のことはわからない」との趣旨が語られる。この作品には、ナチス脅威が深く影を落としているが、自由奔放な空想、風刺と機知に富む描写と構成で、この種のSFの古典的名作といえよう。

飯島 周]

『小林恭二・大森望訳『山椒魚戦争』(1994・小学館)』『栗栖継訳『山椒魚戦争』(岩波文庫)』

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