地下の岩塩層が上部の堆積(たいせき)層に貫入してつくられたドーム構造。岩塩ドームは地下5000メートルから1万メートル以上の深さから上昇したものもあり、ドームの直径は1キロメートルから、なかには2キロメートルを超すものがある。
岩塩層の上に堆積した地層は、初めは間隙(かんげき)率が大きいため岩塩より密度が低いのだが、地層の圧密によって密度は岩塩よりも高くなっていく。そうなると軽い岩塩層の上に重い地層がのるため重力的に不安定になり、地下深所のような封圧の高いところで著しく可塑性を増した岩塩層が上位層を持ち上げ、ついには貫入することによって、岩塩ドームが形成される。岩塩ドームは、岩塩、カリウムなどの鉱床として採掘されるだけでなく、ドーム上部や周辺の地層に石油が貯留していることもあるため、資源・経済的価値が大きい。
[伊藤谷生・村田明広]
岩塩からなる円頂丘状の地質構造で,地下の岩塩が上方へ塑性流動を行うことによって形成される。地下深部では,砕屑岩の密度は岩塩の密度より大きくなるので,岩塩層が下位にある場合は,密度差により発生する浮力と,岩塩層の上・下面に作用する静水圧の差とにより,岩塩が上位の砕屑岩中に貫入するようになる。北ドイツやメキシコ湾周辺のものが有名で,後者は油田としての構造を作っている。
執筆者:植村 武
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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