イギリスの作家エミリー・ブロンテの長編小説。1847年刊。作品の舞台〈嵐が丘〉は,作者が育って死んだイングランド北部ウェスト・ヨークシャーのホーワスの荒涼たる丘陵地をモデルとし,原題の〈ワザリング〉とは,そこに吹きまくる強風の音を模したもの。捨児だった青年ヒースクリフと,彼を拾って育ててくれた地主アーンショーの娘キャサリンとの間の激しい情熱的な愛を描いた物語。身分違いの愛は実らず,キャサリンは近くの地主リントンの息子と結婚してしまうが,間もなく娘を生んで死ぬ。その後ヒースクリフがアーンショー,リントン両家に復讐を果たし,最後に昔の恋人の幻にあこがれつつ死んでいく。発表当時は作中人物の常識はずれの行動や,あまりにも激烈な愛に読者がとまどい,完全に黙殺されたが,20世紀になってからは,まさにその常識を超えた愛のゆえに,日本を含め世界中の男女に深い感動を与えている。
1939,70年の二度映画化。前者はウィリアム・ワイラー監督,ローレンス・オリビエ,マール・オベロン主演。グレッグ・トーランドの撮影はアカデミー賞を受賞した。
執筆者:小池 滋
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イギリスの女流作家エミリー・ブロンテの長編小説。1847年刊。舞台は、作家が住んだホーワースを思わせる荒涼たる山地で、捨て子ヒースクリッフがキャサリンに対して狂気のように激しい愛情の火を燃やしながら、ついにこの世では愛を成就させることができず、2人ともども隣り合った墓で長い眠りにつく。荒々しい自然を背景に、これも荒削りで悪魔的なまでに激しい人間の情熱を力強い筆致で描いたこの小説は、男の筆名で発表された当時は完全に黙殺、または非難されたが、現在では、人間の愛憎をぎりぎりの極限まで追究した高度の芸術作品として、シェークスピアの『リア王』、メルビルの『白鯨(はくげい)』に匹敵する評価が与えられている。
[小池 滋]
『田中西二郎訳『嵐が丘』全二冊(新潮文庫)』
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… 詩集の失敗の後,3姉妹は小説をそれぞれ同じ筆名を用いて書き,ロンドンの出版社に送ったが,拒否されることが続いた。エミリーの《嵐が丘》と,アンの《アグネス・グレー》は,やっと出版社が見つかり,それぞれ1847年に日の目を見たが,ほとんど黙殺ないし悪評で葬り去られてしまった。シャーロットの《教授》は出版社が見つからないため,彼女は第2の小説《ジェーン・エア》を書いたが,これがロンドンの出版社に受け入れられ,同じ47年刊行されたところ,爆発的人気を呼んだ。…
※「嵐が丘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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