市町村の議決機関(地方自治法89条以下)。市町村住民が直接選挙する議員によって構成される住民の代表機関であり、その市町村の意思決定機関である(憲法93条2項、地方自治法17条)。町村は、条例によって、議会にかえて選挙権を有する者の総会(町村総会)を設けることができるが(地方自治法94条)、この場合、町村議会に関する規定が準用される(同法95条)。
市町村議会の議員の任期は4年で、その定数は、1999年(平成11)の地方自治法改正で、法定定数制度にかわって条例定数制度が導入され、同法93条、91条により人口に応じて12人から48人を超えない範囲で条例で定められる(2010年3月で失効した「市町村の合併の特例に関する法」では、地方自治法の上限の2倍まで議員定数を増加させることができた)。また、議員は、衆参両院の議員、地方公共団体の議員および常勤の職員、さらに関係私企業の役員等との兼職が禁止されている(同法92条・92条の2)。
市町村議会は市町村の議決機関として、条例の制定・改廃、予算の議決・決算の認定、その他重要な事項について議決する権限をもつほか(同法96条)、議長・副議長等の選挙権(同法97条1項、103条、182条)、その市町村の事務に関する書類等の検閲、長等の事務の管理、議決の執行および出納の検査等の行政監査権(同法98条)、その市町村の事務に関する調査、選挙人その他の関係人の出頭および証言ならびに記録の提出の請求等の調査権(同法100条)をもち、さらに市町村長に対する不信任議決権(同法178条)などの広範な権限をもつ。
市町村議会は、市町村長がこれを招集するものとされている(同法101条)。定例会は毎年4回以内に制限されていたが、2004年の地方自治法の改正により、回数に制限がなくなった(同法102条2項)。臨時会については、議長からの招集請求(同法101条2項)、または議員定数の4分の1以上の者から招集請求(同法102条3項)があると、市町村長はこれを招集することが義務づけられている(同法101条4項)。そうでない臨時会も必要に応じて招集される(同法102条3項)。会期およびその延長ならびにその開閉に関する事項は、議会が定め(同法102条6項)、常任委員会と特別委員会を置くことができるほか(同法109条・110条)、条例によって議会事務局を置くことができる(同法138条2項)。なお、議会運営については、自主的に定める会議規則(同法120条)において詳細に規定されることになっている。地方議会改革の一環として、議会に関する基本的な運営事項を規定した議会基本条例を定める市町村が増えつつある。日本で初めて議会基本条例を定めたのは北海道栗山町で、2006年5月に施行された。
[福家俊朗・山田健吾]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…地方公共団体に設置されている議決機関をいう。普通地方公共団体である都道府県,市町村の議会(都道府県議会,市町村議会)は直接公選制である。特別地方公共団体の場合は多様であるが,特別区議会は直接公選制が法定されている。…
※「市町村議会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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