平衡石(読み)ヘイコウセキ

  • へいこうせき ヘイカウ‥
  • へいこうせき〔ヘイカウ〕

百科事典マイペディアの解説

耳石,聴石とも。無脊椎動物の平衡胞や脊椎動物の球形嚢・卵形内に1個または多数含まれている固形物エビカニ類では脱皮のたびに体外から取り込まれる砂粒だが,アミ類ではフッ化カルシウム,ハチクラゲ類ではシュウ酸カルシウム,脊椎動物では炭酸カルシウムが胞や嚢の壁にある細胞から分泌されてできる。これら平衡石の感覚毛(平衡毛)への触刺激が平衡感覚をなかだちする。
→関連項目平衡器官平衡胞

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

重力覚受容器の一部を構成する1個または一塊の分泌物をいう。耳砂、聴石ともいい、また医学では平衡砂(さ)、耳石(じせき)を同義語としている。クラゲ類では傘縁に、クシクラゲ類では体の上端に平衡胞がある。胞壁は感覚毛(繊毛)をもつ細胞と分泌細胞からなり、胞の中央には感覚毛に支えられた平衡石がある。平衡石は分泌細胞によってつくられ、均質な1個または小粒を一塊に集めた場合があるが、どれもカルシウムを含む。体が傾いて平衡石が感覚毛に触れると、その刺激は神経によって傘の周辺神経系に伝えられ、傘の筋肉の収縮運動が制御される。エビやカニ類の平衡胞は第一触角の基節にあり、胞の上端には外界に通じるすきまがあり、胞内では数本の剛毛が水底より取り込んだ砂粒を平衡石として支えている。脱皮ごとに新しい砂粒を取り込んで平衡胞をつくりかえる。脊椎(せきつい)動物においても、内耳の卵形嚢(のう)と球形嚢の機能は平衡胞に似ており、炭酸カルシウムの微結晶を平衡石膜で包んだ平衡石がみられる。

[片島 亮]


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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 平衡器官内にある一個ないしは一塊の分泌物。聴石・耳石とも呼ばれる固形物。脊椎動物では炭酸カルシウム、針クラゲでは蓚酸カルシウム、アミの尾肢では弗化カルシウムで、エビ・カニでは水底の砂粒がとりこまれる。これらの平衡石が感覚毛に接触することによって特定の平衡感覚が発生する。

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世界大百科事典内の平衡石の言及

【平衡感覚】より

…最下等のクラゲから扁形動物,環形動物,軟体動物,甲殻類まで同一原理によるものが見いだされる。平衡胞は体表などの陥入による胞状の構造で,その内面に有毛受容細胞の繊毛,甲殻類では受容細胞につながるキチン質の毛からなる感覚毛があり,その先端に付着あるいは自由移動する平衡石(耳石)をのせている。この感覚毛と平衡石のある部分を斑(はん)(聴斑)とよぶ。…

【平衡胞】より

…無脊椎動物の平衡器官,すなわち重力方向に対する体の姿勢を知覚する器官で,外胚葉細胞が落ちくぼんで作られた小さな袋状の構造である。内面に多数の感覚毛を生じていて,体が傾くと袋内の平衡石statolithがちがう部位の感覚毛に触れることになり,これによって体の姿勢を感知する。腔腸動物,扁形動物,紐(ひも)形動物,環形動物,節足動物,軟体動物,棘皮(きよくひ)動物,原索動物などでは一部の動物群によく発達しているが,その形態や作られている部位は動物群によってさまざまである。…

※「平衡石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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