フッ化カルシウム(読み)ふっかかるしうむ(英語表記)calcium fluoride

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フッ化カルシウム」の意味・わかりやすい解説

フッ化カルシウム
ふっかかるしうむ
calcium fluoride

カルシウムフッ素の化合物。天然蛍石(ほたるいし)として産出する。カルシウム塩の水溶液とフッ化ナトリウムなどの水溶液を混合するとコロイド状の沈殿として得られるが、精製が困難である。結晶を得るには、炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムフッ化水素酸に溶解したのち蒸発濃縮する。無色の硬い結晶で加熱すると紫色燐光(りんこう)を発する。硬さ四で、モース硬度の標準となっている。水にはほとんど溶けないが、アンモニウム塩水溶液や薄い無機酸にはわずかに溶ける。フッ化水素酸にも溶解し、その溶液からフッ化水素酸カルシウム六水和物Ca(HF2)2・6H2Oが晶出する。濃硫酸と熱するとフッ化水素が発生する。

 フッ素化合物の製造原料ガラスおよびほうろう工業における原料、製鉄用融剤などのほか、赤外および紫外分光器の光学系の材料として用いられる。

[鳥居泰男]


フッ化カルシウム(データノート)
ふっかかるしうむでーたのーと

フッ化カルシウム
  CaF2
 式量  78.1
 融点  1403℃
 沸点  2500℃
 比重  3.180(測定温度20℃)
 結晶系 正方
 屈折率 (n)1.4339
 溶解度 0.0016g/100g(水18℃)

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化学辞典 第2版 「フッ化カルシウム」の解説

フッ化カルシウム
フッカカルシウム
calcium fluoride

CaF2(78.08).水酸化カルシウムまたは炭酸カルシウムをフッ化水素酸で中和すると得られる.天然には蛍石として産出する.無色の等軸晶系結晶.蛍石型構造.格子定数a = 0.545 nm.密度3.18 g cm-3.融点1360 ℃,沸点約2500 ℃.水,エタノールに難溶,アセトンに不溶.濃硫酸と熱するとフッ化水素を発生する.また,フッ化水素酸に解かすと[Ca(HF2)2]・6H2Oが析出する.フッ素化合物,ガラス,ほうろう工業の原料,融剤,赤外分光器のプリズム,紫外分光器の窓,光学薄膜蒸着剤などに用いられる.[CAS 7789-75-5]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フッ化カルシウム」の意味・わかりやすい解説

フッ化カルシウム
フッかカルシウム
calcium fluoride

化学式 CaF2 。天然には蛍石として産出する。炭酸カルシウムにフッ化水素酸を作用させると無色結晶性沈殿として得られる。比重 3.18,融点 1403℃,硬度4。加熱するとケイ光を発する。水に不溶。濃硫酸と熱するとフッ化水素を発生する。フッ素化合物の原料,製鉄用融剤,ガラスおよびほうろう用材料,赤外・紫外分光用プリズムなどに用いられる。

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百科事典マイペディア 「フッ化カルシウム」の意味・わかりやすい解説

フッ(弗)化カルシウム【ふっかカルシウム】

化学式はCaF2。比重3.18,融点1360℃,沸点2500℃。水にほとんど不溶の無色の結晶。フッ化水素酸に可溶。紫外線,赤外線などをよく通すため単結晶を光学用に用いる。天然にはホタル石として産する。フッ素化学製品全般の原料物質として重要。

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栄養・生化学辞典 「フッ化カルシウム」の解説

フッ化カルシウム

 CaF2.工業原料に使われるほか,飲料水のフッ素化に使われる.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

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