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前庭器官 ゼンテイキカン

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デジタル大辞泉の解説

ぜんてい‐きかん〔‐キクワン〕【前庭器官】

内耳にある、平衡をつかさどる器官。前庭中の卵形嚢(のう)・円形嚢、および膜三半規管からなる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

前庭器官
ぜんていきかん

体の運動感覚位置感覚を中枢に伝える受容器官をいうが、直進運動、回転運動、あるいは運動の速度などを感ずる感覚器でもあるため、平衡感覚器ともよぶ。この受容器は、内耳内に存在する骨迷路という腔所(くうしょ)に位置している。骨迷路は骨性の三半規管(骨三半規管)と、前庭および蝸牛(かぎゅう)からなるが、前庭器官の役を果たすのは、骨性の三半規管の中にある骨と同じ形をした膜性の三半規管(膜三半規管)と、前庭の中にある卵形嚢(のう)および球形嚢とよぶ膜性嚢である。
 卵形嚢は前庭の後上方にある直径5~6ミリメートルの嚢である。前庭の後方にある三半規管は、5個の開口部によって卵形嚢に開いている。卵形嚢の前方からは短い連嚢管が出て球形嚢と連絡している。球形嚢は前庭の前外方に位置する直径2~3ミリメートルの嚢で、球形嚢の下端からは短い結合管が出て蝸牛管と連絡している。卵形嚢と球形嚢が連絡する連嚢管からは後外上方にリンパ管(内リンパ管とよぶ)が出て側頭骨岩様(がんよう)部の錐体(すいたい)後面で頭蓋腔(とうがいくう)に達するが、この部分で内リンパ嚢とよぶ膨らみをつくる。この嚢の表面は脳硬膜に覆われている。卵形嚢の内壁の底部と前方壁には肥厚部分があり、これを卵形嚢斑(はん)(直径2~3ミリメートル)とよぶ。同じように、球形嚢の内壁前部にも肥厚部分があり、これを球形嚢斑(1.5~2.5ミリメートル)とよぶ(両者は平衡感覚器であり、あわせて平衡斑という)。
 膜性の三半規管には前半規管、外側半規管、後半規管があり、それぞれC字形をしており、前半規管は額面位、外側半規管は水平位、後半規管は矢状(しじょう)位の方向を向いている。各半規管内壁には膨大部(肥厚部)があり、これを膨大部稜(りょう)とよぶ。前出の平衡斑と膨大部稜にはほとんど同じ構造の感覚上皮が配列している。感覚上皮は支持細胞と有毛細胞とからなるが、感覚を扱うのは有毛細胞である。有毛細胞には2種類の型があり、型はフラスコ型、型は円柱型である。両型細胞とも、その表面からは1本の長い動毛と30~100本の不動毛を出すが、これらは細胞表面に規則正しく配列している(動毛は不動毛の配列の一端から出ている)。
 三半規管、卵形嚢、球形嚢から出た神経は前庭神経となって蝸牛から出る蝸牛神経といっしょになるが、これらは、さらに内耳神経(第8脳神経)を構成して延髄に入る。平衡斑の感覚上皮細胞の上にはゼリー状の糖タンパク層があり、さらにこの層の表面に炭酸カルシウムからなる結晶状の小体が分布する。これを平衡砂(平衡石(せき)・耳石(じせき))とよび、平衡砂が埋め込まれたゼリー状層を平衡砂膜という。また、膨大部稜の感覚上皮の頂上面にも厚い糖タンパク層がゼリー状に存在し、この層を膨大部頂(カプラ)とよぶ。膨大部頂には平衡砂はないが、体の運動がおこると迷路内のリンパ液の慣性流動によって平衡砂膜や膨大部頂が動き、前庭神経が刺激されることによって興奮がおこる。なお、平衡斑は平衡砂にかかる重力にも反応する。[嶋井和世]

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