正月の飾り物。家の内庭の荒神(こうじん)などの前にかける。松や樫(かし)などの棒に12本(閏年(うるうどし)には13本)の縄が結び下げられ、ブリ、タイやダイコン、ダイダイ、昆布などがつり下げられるのが一般的な形である。この棒に特別な意味を認めて、代替わりや不幸のない限り毎年同じものを用いる例が多い。大番竿(おおばんざお)などともいわれ九州・四国地方の各地に点々と分布しているが、類似のものは全国各地で年神(としがみ)棚の前などにかけられている。これらとは別に、門松の根元に寄せかける薪(まき)のことを幸木とよぶ所が西日本各地に多いが、同じものは名称を異にして全国に分布している。
[田中宣一]
…また,修験者がたく護摩(ごま)木は,この火によってすべての罪障を焼きはらい,不動明王と一体化するなどといった象徴的な意味があり,これには土地ごとにカツギ(勝木)と称されている木が選ばれている。宮中での御竈木(みかまぎ)(御薪)の風習をはじめ,正月の神祭用の薪である年木(鬼木(おにぎ)や幸木(さいわいぎ)などともよばれる),竜宮の水神に薪を与えるモティーフをもつ〈竜宮童子〉の昔話などからも,薪が単なる燃料ではなかったことがわかる。燃料【佐野 賢治】。…
※「幸木」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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