幸木(読み)サイギ

デジタル大辞泉 「幸木」の意味・読み・例文・類語

さい‐ぎ【幸木】

さいわい木1」に同じ。 新年「いざ祝へ鶴をかけたる―かな/青々

こうぼく〔カウボク〕【幸木】

半田良平歌集没後の昭和23年(1948)に刊行され、第5回日本芸術院賞(詩歌部門)を受賞

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精選版 日本国語大辞典 「幸木」の意味・読み・例文・類語

さいわい‐ぎさいはひ‥【幸木】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 正月飾りの一種。六尺(約一・八メートル)ぐらいの棒に飾りなわを、平年には一二本、閏年には一三本結び下げ、そのなわに魚、野菜など正月用の食料を吊り下げ、これを土間などにとりつけるもの。しゃちぎ。さいぎ。《 季語・新年 》
    1. [初出の実例]「庭に幸(サイ)はひ木とて横わたしにして、鰤、いりこ、串貝、雁、鳬、〈略〉三ケ日につかふほとの料理のもの、此木につりさげて」(出典:浮世草子・世間胸算用(1692)四)
  3. 門松の周囲などに立てて飾る薪(まき)
  4. 正月一五日、かゆを煮る時に用いた削木の杖。この杖で子どもに恵まれない女性の腰を打つと、男子をはらむとされたところからこの名がある。かゆづえ。祝い棒。〔俳諧・年浪草(1783)〕

さい‐ぎ【幸木】

  1. 〘 名詞 〙
  2. さいわいぎ(幸木)《 季語・新年 》
    1. [初出の実例]「飾方は、〈略〉さい木を立かけ、藁盒子を結び付、雑煮・節鱠を備へ申候」(出典:諸国風俗問状答(19C前)阿波国風俗問状答)
  3. かゆづえ(粥杖)〔俳諧・年浪草(1783)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「幸木」の意味・わかりやすい解説

幸木
さいわいぎ

正月の飾り物。家の内庭の荒神(こうじん)などの前にかける。松や樫(かし)などの棒に12本(閏年(うるうどし)には13本)の縄が結び下げられ、ブリ、タイやダイコンダイダイ昆布などがつり下げられるのが一般的な形である。この棒に特別な意味を認めて、代替わりや不幸のない限り毎年同じものを用いる例が多い。大番竿(おおばんざお)などともいわれ九州・四国地方の各地に点々と分布しているが、類似のものは全国各地で年神(としがみ)棚の前などにかけられている。これらとは別に、門松の根元に寄せかける薪(まき)のことを幸木とよぶ所が西日本各地に多いが、同じものは名称を異にして全国に分布している。

[田中宣一]

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世界大百科事典(旧版)内の幸木の言及

【薪】より

…また,修験者がたく護摩(ごま)木は,この火によってすべての罪障を焼きはらい,不動明王と一体化するなどといった象徴的な意味があり,これには土地ごとにカツギ(勝木)と称されている木が選ばれている。宮中での御竈木(みかまぎ)(御薪)の風習をはじめ,正月の神祭用の薪である年木(鬼木(おにぎ)や幸木(さいわいぎ)などともよばれる),竜宮の水神に薪を与えるモティーフをもつ〈竜宮童子〉の昔話などからも,薪が単なる燃料ではなかったことがわかる。燃料【佐野 賢治】。…

※「幸木」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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