庄野英二(読み)ショウノエイジ

デジタル大辞泉 「庄野英二」の意味・読み・例文・類語

しょうの‐えいじ〔シヤウの‐〕【庄野英二】

[1915~1993]児童文学作家山口の生まれ。芥川賞作家庄野潤三の兄。坪田譲治師事。長編童話星の牧場」のほか童話集雲の中のにじ」「アルファベット群島」、エッセー集「ロッテルダムの」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「庄野英二」の意味・わかりやすい解説

庄野英二
しょうのえいじ
(1915―1993)

児童文学作家。山口県生まれ。関西(かんせい)学院大学文学部卒業。坪田譲治に師事して、1955年(昭和30)第一童話集『デッキ』を刊行する。63年長編童話『星の牧場(まきば)』を発表、戦場で記憶を失った主人公と愛馬とのかかわりをファンタスティックに描き、情感豊かな人間愛の童話として注目され、野間児童文芸賞などを受賞した。また『ロッテルダムの灯(ひ)』(1961)によって日本エッセイストクラブ賞を受賞。おもな童話集に『雲の中のにじ』(1965。NHK児童文学賞)、『うみがめ丸漂流記』(1968)、『アルファベット群島』(1977。赤い鳥文学賞)、『いななく高原』上下(1979)、『孫太郎南海漂流記』(1980)、『アルピエロ群島』(1981)、『海のシルクロード』(1985)など、詩画集に『王の悲しみ』(1984)、『たきまくら』(1985)、『胡蝶蘭(こちょうらん)』(1986)などがある。晩年になって、自伝的エッセイ『新しい靴』(1987)、文学的自叙伝『鶏冠詩人伝』(1990)を発表した。1990年(平成2)、これまでの業績によって巌谷小波(いわやさざなみ)賞を受賞。1975年より帝塚山(てづかやま)学院大学学長(~1989)を務めた。作家庄野潤三(じゅんぞう)は弟。

西本鶏介

『『ロッテルダムの灯』(1965・理論社)』『『海のメルヘン』(1965・理論社)』『『うみがめ丸漂流記』(1968・ポプラ社)』『『ぶたと真珠』(1970・実業之日本社)』『『木曜島』(1972・理論社)』『『バタン島漂流記』(1976・偕成社)』『『アルファベット群島』(1977・偕成社)』『『いななく高原』上下(1979・偕成社)』『『庄野英二全集』全11巻(1979~80・偕成社)』『『孫太郎南海漂流記』(1980・偕成社)』『『シューベルト 歌曲王』(1980・音楽之友社)』『『アルピエロ群島』(1981・偕成社)』『『詩画集 王の悲しみ』(1984・人文書院)』『『海のシルクロード』(1985・理論社)』『『詩画集 たきまくら』(1985・編集工房ノア)』『『詩画集 胡蝶蘭』(1986・編集工房ノア)』『『庄野英二自選短篇童話集』(1986・編集工房ノア)』『『ピンチヒッター』(1987・小峰書店)』『『新しい靴』(1987・編集工房ノア)』『『ナイアガラよりも大きい滝』(1989・小峰書店)』『『鶏冠詩人伝』(1990・創元社)』『『佐久の佐藤春夫』(1990・編集工房ノア)』『『星の牧場』『雲の中のにじ』『メルヘン諸島』(角川文庫)』『河合隼雄著『河合隼雄対談集 あなたが子どもだったころ』(1988・光村図書)』『相原法則著『作家のうしろ姿――児童文学の21人』(1994・文渓堂)』『庄野潤三著『文学交遊録』(1995・新潮社)』

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20世紀日本人名事典 「庄野英二」の解説

庄野 英二
ショウノ エイジ

昭和・平成期の児童文学作家,小説家 帝塚山学院大学名誉学長。



生年
大正4(1915)年11月20日

没年
平成5(1993)年11月26日

出生地
山口県萩町(現・萩市)

出身地
大阪府大阪市帝塚山

学歴〔年〕
関西学院大学文学部哲学科〔昭和11年〕卒

主な受賞名〔年〕
日本エッセイストクラブ賞(第9回)〔昭和36年〕「ロッテルダムの灯」,大阪府芸術賞〔昭和36年〕,野間児童文芸賞(第2回)〔昭和39年〕「星の牧場」,日本児童文学者協会賞(第4回)〔昭和39年〕「星の牧場」,サンケイ児童出版文化賞(第11回)〔昭和39年〕「星の牧場」,NHK児童文学賞(奨励賞 第4回)〔昭和41年〕「雲の中のにじ」,赤い鳥文学賞(第7回)〔昭和52年〕「アルファベット群島」,巌谷小波文芸賞(第13回)〔平成2年〕

経歴
在学中、坪田譲治の「お化けの世界」に感動し、坪田家を訪れ、文学の目を開かれる。昭和12年陸軍に入隊し、中国・南方転戦、21年大尉で復員。23年帝塚山学院に勤務。中等部、高等部、短大を経て、帝塚山学院大学教授となり、57年〜平成元年学長。一方、昭和22年から本格的な創作活動に入り、30年第一童話集「子供のデッキ」を刊行。以後、童話、小説、随筆、紀行と精力的に書きすすめる。代表作に童話「星の牧場」や「雲の中のにじ」「うみがめ丸漂流記」「アルファベット群島」、小説「ユングフラウの月」、随筆「ロッテルダムの灯」、自伝「鶏冠詩人伝」など。「庄野英二全集」(全11巻 偕成社)がある。“びわの実学校”同人。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「庄野英二」の解説

庄野英二 しょうの-えいじ

1915-1993 昭和後期-平成時代の児童文学作家。
大正4年11月20日生まれ。庄野潤三の兄。9年間兵役につき,戦後帝塚山学院で教員をつとめる。昭和36年「ロッテルダムの灯」で日本エッセイスト・クラブ賞。ついで「星の牧場」で復員した青年と愛馬の交流を詩情ゆたかにえがき,39年野間児童文芸賞などをうける。50年帝塚山学院大学長。平成5年11月26日死去。78歳。山口県出身。関西学院大卒。

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367日誕生日大事典 「庄野英二」の解説

庄野 英二 (しょうの えいじ)

生年月日:1915年11月20日
昭和時代;平成時代の児童文学作家;小説家。帝塚山学院大学学長
1993年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

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