引絡(読み)ひっからむ

精選版 日本国語大辞典 「引絡」の意味・読み・例文・類語

ひっ‐から・む【引絡】

[1] 〘自マ五(四)〙 (「ひっ」は接頭語)
① 強くからむ。ぎゅっとからむ。
解剖室(1907)〈三島霜川〉「または喉に痰でもひっ絡(カラ)むだやうに妄(やたら)と低い咳払をしてゐた」
② もつれあう。
※象やの粂さん(1921)〈長谷川如是閑〉「身体を丸出しにして、大勢でひっからんで躍るんだってえぜ」
③ 言いがかりをつけてつきまとう。無理難題をしつっこく言いたてる。
人情本・恋の若竹(1833‐39)下「切れてくれろといふのならば、そんな引(ヒ)っからんだ物の云ひ様をせずとも」
④ いろいろとこみいる。複雑で面倒になる。
※歌舞伎・四天王楓江戸粧(1804)三立「何だか、むづかしく引っ搦(カラ)んで来た」
⑤ 密接にかかわる。
半七捕物帳(1923)〈岡本綺堂帯取の池「おみよといふ若い女と、近所質屋に奉公してゐる時分から引絡(ヒッカラ)んでゐたんだ」
[2] 〘他マ下二〙 ⇒ひっからめる(引絡)

ひっ‐から・げる【引絡】

〘他ガ下一〙 ひっから・ぐ 〘他ガ下二〙 (「ひっ」は接頭語)
全体を残らずまとめる。残らずひっくるめる。
雑兵物語(1683頃)下「荷をひっからげて来た程に」
着物のすそをはしょる。尻をはしょる。
浄瑠璃大友真鳥(1698頃)三「すそひっからげ七のずにしっかとはさみ」

ひっ‐から・める【引絡】

〘他マ下一〙 ひっから・む 〘他マ下二〙 (「ひっ」は接頭語) 強くからめる。細長い物を他の物に強く巻きつける。
※落語・初夢(1892)〈三代目三遊亭円遊〉「男の子は又た紙鳶(たこ)を上げますが当節は電信があるから針線(はりがね)へ引っからめて」

ひっ‐からま・る【引絡】

〘自ラ五(四)〙 (「ひっ」は接頭語) 強くからまる。ぎゅっとからまる。また、物事が複雑に入り組む。こんがらかる。ひきからまる。
※ありのすさび(1895)〈後藤宙外〉六「蔓ひっからまりて逃れ難く悶ゆる中に」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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