明治・大正期の小説家,評論家
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報
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小説家、評論家。本名寅之助(とらのすけ)。秋田県生まれ。東京専門学校(現早稲田(わせだ)大学)卒業。『ありのすさび』(1895)で文壇に認められ、初め深刻小説、社会小説の傾向の作品を書いたが、しだいに硯友社(けんゆうしゃ)風の作風に転じていった。その後、自然主義が勢力を得てくるとこれに反対し、反自然主義の評論を書く一方、文芸革新会を結んで批判したりした。その間1899年(明治32)には春陽堂に入り、『新小説』の編集主任となり、公平な精神で、夏目漱石(そうせき)の『草枕(くさまくら)』、田山花袋(かたい)の『蒲団(ふとん)』など、人々の注目を集め、時代に影響を与えた作品を掲載し文壇に大きく貢献した。晩年は故郷に帰り考古学の研究に熱中した。著書に作品集『裾野(すその)』(1909)、評論集『非自然主義』(1908)、回想録『明治文壇回顧録』(1936)などがある。
[畑 実]
『『明治文学全集65 後藤宙外他集』(1968・筑摩書房)』
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