日本大百科全書(ニッポニカ) 「当座比率」の意味・わかりやすい解説
当座比率
とうざひりつ
quick ratio
企業財務の安全性もしくは健全性を評価する指標の代表的なもの。通常は、貸借対照表の当座資産と流動負債を次の算式によって対比したものである。
企業の短期的支払能力を測定するうえで、流動比率よりも厳しい査定をするという観点から、酸性試験比率acid test ratioともよばれている。流動比率が2:1(200%)のルールを基準とするのに対して、この当座比率は100%を超えることが望ましいとされている。買掛金、支払手形、短期借入金等の流動負債の支払い(返済)をする財源としての当座資産には、現金のほかすぐに換金が容易な銀行預金、売掛金、受取手形、売買目的で保有する有価証券などのいわゆる貨幣性資産が含まれる。企業の支払能力を厳しく査定する目的で考案された比率であるから、売掛金や受取手形のなかに貸倒れのおそれのある不良性債権がある場合には、これを除いて算定することが適切である。
[東海幹夫]