デジタル大辞泉
「射影」の意味・読み・例文・類語
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しゃ‐えい【射影】
- 〘 名詞 〙
- ① 物の影をある面にうつすこと。また、そのうつった影。
- [初出の実例]「歴々其形象を現す、気鏡中の射影なり。〈略〉瞑目思想の間覯見すべからざる者なし、心中の射影なり」(出典:明六雑誌‐一三号(1874)想像論〈津田真道〉)
- ② 幾何学的操作の一つ。平面A上の図形Fの各点と、A上にない一点Oとを直線で結ぶことを、OからFを射影するという。また、このようにしてできた図形を、Oを通らない平面Bで切断して図形F′をつくることを、FをOからBへ射影するという。Oが無限のかなたへ去った場合も含めるのが普通である。→正射影
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
射影
しゃえい
projection
数学用語。 (1) 射影幾何学では,2つの図形が,1点Oを中心とする配景対応によって,互いに対応しているとき,これらの2つの図形は,一方が他方の射影または切断になっているという。平面図形の場合には,図形 F 上の各点と F 外の1点Oとを結ぶ直線を引くことを,F をOから射影するといい,また F をOから射影した場合の各直線とOを通らない1つの直線 l との交点を求めることを,F を l で切断するという。空間図形の場合には,図形 F 上の各点と F 外の1点Oを結んで,直線を引くことを,F をOから射影するといい,また F をOから射影した場合の各直線とOを通らない1つの平面πとの交点を求めることを,F を π で切断するという。切断によって求められた交点の全体は,いずれの場合も,一般に F とは異なった新しい図形 F' を形成する。これを F の画像ということがある。このようにして F から F' を求めることを,単に,F を l または π に射影するという。 (2) ユークリッド空間,またはもっと一般にヒルベルト空間では,その空間の点から部分空間への垂線の足を対応させる写像をいう。特に区別するときは,正射影または直交射影 orthogonal projectionという。部分空間に対してでなく,一般の凸集合に対しても,射影を考えることもある。点Pから凸集合 A への射影は,Q∈A についての距離 d(P,Q) を最小にする点になる。 (3) (2) の場合を一般にして,集合 A ,B があるとき,積集合 A×B の点 (a,b) に a もしくは b を対応させる写像を射影という。さらに,B の上のファイバー空間 C について,C から底の B への写像を射影という。この構造から,一般に,集合 C から集合 B への全射のことを,射影ということもある。
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射影 (しゃえい)
projection
平面上に1直線lとその上にない点Cが与えられたとき,この平面上の図形Fの各点Pに対し,直線CPとlとの交点をP′として,PにP′を対応させることをFをCからl上に(中心)射影するという(図1)。空間に1平面αとその上にない点Cが与えられたとき,空間内の図形FをCからα上に射影するということも同様に定義される。とくに,球とこの中心を通る平面αがあるとき,αに垂直な半径の端点Cから球面上の点をα上に射影することを立体射影という(図2)。平面上に平行でない2直線l,mがあるとき,この平面上の図形Fの点Pに対し,Pを通りmに平行な直線がlと交わる点をP′として,PにP′を対応させることをFをmの向きにl上に平行射影するといい(図3),とくにmがlと直交するとき,Fをl上に正射影するという。空間に平行でない1直線mと1平面αが与えられたとき,空間内の図形Fの点Pに対し,Pを通りmに平行な直線がαと交わる点P′を対応させることをFをmの向きにα上に平行射影するといい(図4),とくにmとαが直交するとき,Fをα上に正射影するという(図5)。
執筆者:中岡 稔
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射影【しゃえい】
平面上に直線lとその上にない点Oがあたえられたとき,この平面上の図形Fの各点Pと点Oとを結ぶ直線OPとlとの交点をP′としてPにP′を対応させることを,FをOからl上に射影するという。同様に,空間に1平面πとその上にない点Oがあたえられたとき,空間内の図形Fの各PとOを結ぶ直線OPとπとの交点をP′としてPにP′を対応させることを,FをOからπ上に射影するという。とくに,Fの各点Pからlまたはπに下ろした垂線の足をP′としてPにP′を対応することを,Fをlまたはπ上に正射影するという。→射影幾何学
→関連項目デザルグ|無限遠
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射影
データベースリレーショナルデータベースの表から、目的の列(フィールド)を取り出すこと。「投影」とも呼ばれる。リレーショナルデータベース抽出コンピューターグラフィックス3次元のコンピューターグラフィックスにおいて、作成した物体に光を当てて影を付けること。「投影」とも呼ぶ。射影により、物体を立体的に浮き立たつように表示できる。コンピューターグラフィックス
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普及版 字通
「射影」の読み・字形・画数・意味
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世界大百科事典(旧版)内の射影の言及
【画法幾何学】より
…
[投影法とその種類]
ある物体(空間図形)を一つの集合と考えたとき,いまその1点Aをとりあげて,これを物体の先方に置いた平面Pに見通せば,P上にはこれに対応する点A′を印することができる。このような操作を投影projectionまたは投象といい,平面Pを投影面と呼ぶ。同様にして物体の各点を次々に投影していけば,平面上にはその物体の対応図形が得られ,こうして得られた図形を投影図,視点と投影図を結ぶ直線を投影線という。…
【投射】より
…心理学,精神医学の用語。無意識の作用による自我の防衛機制の一つ。投影ともいう。自分自身の資質,欲求,感情等を認められない,あるいは認めたくないときに,それらのものが自分のものではなく,他の人や物にあるかのように感じとる作用。例えば,ある人に対し,敵意なり,逆に恋愛感情なりをもっていて,そのような自分の気持ちを認めたくないとき,その敵意や恋愛の感情は自己の中では抑圧され,相手に投射されて,あたかも相手が自分を憎んでいる,あるいは愛していると感じるメカニズムである。…
※「射影」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」