(読み)エイ

  • かげ
  • かご
  • 影/▽景
  • 漢字項目

デジタル大辞泉の解説

人や物の姿を絵に写しとったもの。絵姿。肖像画
「かの聖の姿を、―に書きとらん」〈宇治拾遺・九〉
常用漢字] [音]エイ(漢) ヨウ(ヤウ)(呉) [訓]かげ
〈エイ〉
光が物にさえぎられてできる暗い部分。かげ。「影響暗影陰影形影斜影樹影
光。「月影灯影
物の姿や形。「機影幻影孤影人影船影投影
写真や絵画に写された像。「影印影像遺影近影撮影尊影
〈かげ〉「影絵影法師面影(おもかげ)島影月影日影火影(ほかげ)星影
[難読]影向(ようごう)
《「」と同語源》
日・月・星・灯火などの光。「月の―」「木陰にまたたく灯火(ともしび)の―」
光が反射して水や鏡などの表面に映った、物の形や色。「湖面に雲の―を落とす」
目に見える物の姿や形。「どこへ行ったのか子供たちの―も見えない」
物が光を遮って、光源と反対側にできる、そのものの黒い像。影法師。投影。「夕日に二人の―が長く伸びた」
心に思い浮かべる、人の顔や姿。おもかげ。「かすかに昔日の―を残す」
ある現象や状態の存在を印象づける感じ。不吉な兆候。「忍び寄る死の―」「社会に暗い―を落とす事件」
心に思い描く実体のないもの。幻影。まぼろし。
「そのころの幸福は現在の幸福ではなくて、未来の幸福の―を楽しむ幸福で」〈二葉亭浮雲
つきまとって離れないもの。
「寄るべなみ身をこそ遠く隔てつれ心は君が―となりにき」〈古今・恋三〉
やせ細った姿のこと。
「恋すれば我身は―となりにけりさりとて人に添はぬものゆゑ」〈古今・恋一〉
10 死者の霊魂。
「亡き―やいかが見るらむよそへつつ眺むる月も雲隠れぬる」〈・須磨〉
11 よく似せて作ったもの。模造品。
「誠の小水竜は、蔵に納め―を作りて持ったる故」〈浄・五枚羽子板〉
12 江戸時代、上方の遊里で揚げ代2匁の下級女郎。
[下接語]朝日影後ろ影面影島影透(す)き影月影鳥影初日影春日影日影人影船(ふな)影火(ほ)影帆影星影御(み)影水影物影山影夕影夕日影

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世界大百科事典 第2版の解説

光線の進路に不透明な障害物があると,その背後光線のこない部分ができる。これを影という。光源が大きい場合,一部は光線がくるが一部は影になる部分があり,これを半影といい,まったく光線のこない部分を本影という。太陽の影は季節によって異なるから,垂直棒を立て,その影の位置,長さを観測することによって東西南北方位や太陽高度,あるいは時刻を知ることができる。古代の天文観測器のノーモンがこれで,中国では圭表あるいは晷儀(きぎ)と呼んでいた。

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大辞林 第三版の解説

物が光をさえぎった時、光源と反対の側にできる、その物の黒い形。 夕日に-が長くのびる
光。灯火。 星- 渡る日の-に競ひて/万葉集 4469
水面や鏡などにうつるそのものの姿。 -をうつす
姿。そのものの形。 近ごろ彼は-も見せない うわさをすれば- 見る-もない
細部は明瞭でないがそのものの輪郭としてとらえられる姿・形。 -になるまで見送る
心の中に浮かぶ姿。おもかげ。 -を慕う
表立っては見えない人や物の存在を暗示するもの。特に、不安・不吉な兆候。 背後に大物の-が見える 死の-におびえる
本体そのものではないこと。身代わり。 -武者
シャドー
かすかな形だけで実体のないもの。 このかぐや姫、きと-になりぬ/竹取
やせ細った姿の形容。 -のやうにやせさらぼひつつ/宇治拾遺 6
本体に付き添って離れないもの。 よるべなみ身をこそとほくへだてつれ心は君が-となりにき/古今 恋三
魂。 亡き御-どもも/源氏 宿木
本物に似せて作ったもの。 真の小水竜は庫に納め-を作り持つたる故/浄瑠璃・雪女

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

物体が光を遮った結果、光源と反対側に光線の届かない部分ができる。これを影という。光源がある大きさをもつとき、物体の後方にできる影のなかで光がまったく届かず、影が暗黒になる部分を本影といい、光が一部分到達して薄暗い影をつくっている部分を半影という。たとえば、日食は太陽の光が月に遮られ、月の影が地表に落ちる現象であるが、その半影にあたる地域では部分食が、本影の領域に入った地点では皆既食が観測される。
 日本語の影という語には、そのほか、心に思い浮かべた人の姿・おもかげや、空想などによって心に思い描く実態のないもの、やせ細った姿・やつれた姿、あるいは魚の群れなどをも意味する。「影が薄い」「影の如(ごと)く」「影も形もない」「影を落とす」などの表現がある。[尾島兼一]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① 物体によって光線のさえぎられた暗い部分。かげ。
② ひかり。
※花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉一「火光は湿を帯ひて焔(えん)青く影(エイ)暗く、其凄愴の情は燐火の古戦場に燃るに異ならず」 〔杜甫‐大雲寺賛公房詩〕
③ 人や情景を絵に表わしたもの。
※参天台五台山記(1072‐73)五「有小堂。文宣王謁孔子影也」
※今鏡(1170)一「菩提樹院にこのみかどの御えいおはしましけるを」 〔南史‐梁宗室伝〕
④ 陰陽家などが、祈祷の時に用いる人形(ひとがた)。形代(かたしろ)
※色葉字類抄(1177‐81)「影 エイ カケ 形代也」
〘名〙 「かげ(影)」の上代東国方言。
※万葉(8C後)二〇・四三二二「わが妻はいたく恋ひらし飲む水に加其(カゴ)さへ見えて世に忘られず」

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世界大百科事典内のの言及

【陰影法】より

…光線で物体を照らしたときに,物体の置かれた台の上にできる暗部を影shadow,物体それ自身の表面にできるものを陰shadeといい,これらを描写する絵画の技術を陰影法と呼ぶ。これは,空間内の物体を人間の目が認識した場合のビジョン(視覚)の再現に不可欠の要素である。…

※「影」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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