デジタル大辞泉
「後付け」の意味・読み・例文・類語
あと‐つけ【後付け/跡付け】
1 江戸時代、客の乗った馬の後方に荷をつけること。また、その荷。武士の乗る場合は多く刀箱であった。
「―あけて路銀のうち十両、当分入り用に使ひ給へと渡せば」〈浮・新可笑記・五〉
2 芸者が付き添いに持たせる三味線箱。1の刀箱に形が似ていたところからいう。
「―を持たせて芸者舟へ来る」〈柳多留・一四〉
3 遊女の後方から見張りとしてついて行く男。妓夫。
「置き手拭ひして、―の男を待ち合はせ」〈浮・一代男・三〉
4 ある人の詠じた詩歌の末の字を最初の字として他の人が詩歌を作ること。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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あと‐つけ【後付・跡付】
- 〘 名詞 〙 ( 「あとづけ」とも )
- ① 江戸時代、客人を乗せた馬の尻へつける荷物。重量三貫目を限って許される荷物で、武士の乗る場合は多く刀箱であったので、刀箱のことをもいう。
- [初出の実例]「先つづら二つつけけるか、次にあとつけのり敷つけけるか」(出典:咄本・百物語(1659)上)
- 「跡付(アトツケ)に長国国宗の大小はなさず」(出典:浮世草子・武道伝来記(1687)六)
- ② ( ①の刀箱の形に似ているところから ) 芸者などが付き添いの者に持たせる三味線箱。
- [初出の実例]「跡付(あトつケ)を持せて芸者船へ来る」(出典:雑俳・柳多留‐一四(1779))
- ③ 人のうしろからついて行くこと。また、その人。
- (イ) 護衛をかねて監督のために歌舞伎役者や遊女などのうしろからついて行く者をいう。
- [初出の実例]「置手拭して、跡(アト)つけの男を待合」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)三)
- (ロ) 太鼓持ち。幇間(ほうかん)。
- [初出の実例]「跡付(アトヅケ)、同、太鼓持の事なり。〈略〉本客のあとにつくといへる心なるべきか」(出典:評判記・色道大鏡(1678)一)
- ④ 他人が詠んだ詩歌の末の字を始めにおいてさらに詠むこと。尻取り式に詩歌を作ること。
- [初出の実例]「酒譜に、今人多以二文句首末二字一、相聯謂二之粘頭続尾一と。今も戯にするあとつけと云なり」(出典:随筆・秉穂録(1795‐99)一)
- ⑤ ( ④から転じて ) 一人が言ったことばの最後の一音を、次の人が語頭において別のことばを言い続けて行く遊び。尻取り。
- ⑥ 一応まとまっている物事へ、さらに追加すること。また、そのもの。
- (イ) 遊女を揚げたあと、さらに翌日、早朝一定時間を追加すること。上方の遊里語。
- [初出の実例]「今夜は爰の揚(あげ)、しかも跡付(アトヅケ)にまでしてあるもの」(出典:歌舞伎・五大力恋緘(1793)三幕)
- (ロ) 食事に添えて出す酒。
- [初出の実例]「さあびしい・ゑゑあとづけはないかいの」(出典:雑俳・軽口頓作(1709))
- (ハ) 書籍の本文のあとにつける後記など。
- ⑦ 物事の変化の跡をたどり、確かめること。
- [初出の実例]「これの立ち入った跡づけは、ここでのわたしの主題ではない」(出典:小林多喜二問題(1947)〈小田切秀雄〉二)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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