うしろ‐づめ【後詰】
- 〘 名詞 〙 ( 「うしろつめ」とも )
- ① 攻撃または防御部隊の後方に控えていて、必要に応じて応援をする予備の部隊。ごづめ。〔黒本本節用集(室町)〕
- [初出の実例]「二三日之内に滅亡之由候、敵も後詰無之内と心得候歟」(出典:上杉家文書‐天正二年(1574)一一月二七日・上杉謙信輝虎書状)
- ② ( ━する ) 敵を背後から攻めること。また、その軍勢。うしろぜめ。ごぜめ。うしろまき。
- [初出の実例]「さあらばなぜに秦は趙をばせめぬぞと云は、韓魏がうしろつめをせうずほどに」(出典:史記抄(1477)一一)
- ③ ( ━する ) 背後にいて、応援、援助すること。代わってことにあたること。また、その者。あとおし。うしろだて。
- [初出の実例]「われらも是にあって、うしろづめをいたさう」(出典:天理本狂言・若市(室町末‐近世初))
- 「松風をおうちなされ、うしろづめは私と誠しやかに申しける」(出典:浄瑠璃・松風村雨束帯鑑(1707頃)二)
ご‐づめ【後詰】
- 〘 名詞 〙
- ① 城を包囲した敵や布陣した敵の後方から攻撃すること。また、その軍隊。背後を襲う伏兵。うしろぜめ。ごぜめ。うしろづめ。
- [初出の実例]「豪誉後攻(ゴヅメ)仕て、主上をば取り奉るべし」(出典:太平記(14C後)二)
- ② 先陣の交替・補充のため、うしろに控えている軍勢。予備軍。援軍。うしろづめ。
- [初出の実例]「金崎の後攻(コヅメ)をせよとの為也」(出典:太平記(14C後)一七)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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後詰 (うしろづめ)
〈ごづめ〉とも読む。用兵に関する術語として戦記物語に頻出する。救援のため後方に控える予備部隊または援兵およびその救援行動をさす場合が最も多い。安土桃山時代の用語を採録する《日葡辞書》では同義語として〈うしろまき〉を掲げ敵を背後から包囲すること,または攻めることと解釈している。1584年(天正12)9月,前田利家が能登末森城を救援し,優勢な佐々成政の軍を撃破した戦闘などは成功した事例として名高い。
執筆者:岩沢 愿彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の後詰の言及
【後詰】より
…〈ごづめ〉とも読む。用兵に関する術語として戦記物語に頻出する。救援のため後方に控える予備部隊または援兵およびその救援行動をさす場合が最も多い。安土桃山時代の用語を採録する《日葡辞書》では同義語として〈うしろまき〉を掲げ敵を背後から包囲すること,または攻めることと解釈している。1584年(天正12)9月,前田利家が能登末森城を救援し,優勢な佐々成政の軍を撃破した戦闘などは成功した事例として名高い。【岩沢 愿彦】…
※「後詰」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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