御下り（読み）オサガリ

デジタル大辞泉

お‐さがり【^▽御下（が）り】

１ 「下がり4」に同じ。「兄さんのお下がりでがまんする」
２ 神仏の供物を下げたもの。
３ 客に出した飲食物の残り。
４ 都会から地方へ行くことを京都でいう。
５ （「御降り」とも書く）正月三が日に降る雨や雪。《季 新年》「まんべんに―うける小家哉／一茶」

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

お‐さがり【御下・御降】

1. 〘 名詞 〙 ( 「お」は接頭語 )
2. ① 雨が降ること、また、雨をいう女房詞。
   1. [初出の実例]「雨ふる事は おさがりと」(出典：婦人養草（1689）五)
3. ② ( 御降 ) 特に、元旦または正月三が日のうちに降る雨や雪をいう。降れば豊年のしるしとされ、めでたいものとされた。《 季語・新年 》
   1. [初出の実例]「松の内に降(ふる)雨はおさがりといひならはせり」(出典：俳諧・山の井（1648）春)
4. ③ 神仏の供物の下げたもの。また、客に出した食物の残り。
   1. [初出の実例]「奉公人は神様に供へるのだらうと云ってゐるが、それにしてもおさがりが少しも無い」(出典：大塩平八郎（1914）〈森鴎外〉一二)
5. ④ 目上の人や兄、姉などからもらう使いふるしの衣服、物品。おふる。
   1. [初出の実例]「其上に夫人(おくさん)が気張者(きばりて)でお下りが度々貰へるといふし」(出典：破垣（1901）〈内田魯庵〉一)
6. ⑤ 主人などのそばから下がること。退出すること。
   1. [初出の実例]「私も頂いた結構なお菓子、〈略〉晩にお下(サガ)りのとき兄さんに御届なすって下さらないか」(出典：人情本・清談若緑（１９Ｃ中）初)
7. ⑥ 都会から地方へ行くことを京都でいう。下向。
8. ⑦ 神霊が身体にのりうつること。神おろし。
   1. [初出の実例]「稲荷のおさがりとて、をりをりうつしまうづる事あり」(出典：随筆・癇癖談（1791か）上)

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