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心情倫理 しんじょうりんり

大辞林 第三版の解説

しんじょうりんり【心情倫理】

道徳的善悪の基準を、行為の結果ではなく、行為者の意図・気持ち・意志などに置く立場。カント・リップスなどがこれに属する。心情道徳。心術道徳。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

心情倫理
しんじょうりんり
Gesinnungsethikドイツ語

M・ウェーバーの用語で、責任倫理と対をなす。彼は、あらゆる倫理的行為を律する二つの対立した原則として、この二つを理念型的に区別する。行為の類型からすれば、心情倫理は価値合理的行為に、責任倫理は目的合理的行為に対応する。
 心情倫理においては、ある行為がどのような結果をもたらそうとも、それを意に介することなく、ひたすら自分が正しいと信じる究極的価値ないし倫理的命令に従って行為することが求められる。事の成否は問わない。「人事を尽くして天命を待つ」という態度である。キリスト教でいえば、たとえば「山上の垂訓」を絶対視し、「神の命令に従って正しく行動し、結果は神にゆだねる」という形をとる。ここでは純粋な心情の炎に燃えて無条件かつ一義的に献身することだけが求められるから、もしその目的に成功の望みがなく実現不可能な場合には、破滅的な結果ともなりかねない。それが宗教的には殉教者の場合であり、政治的には心情的ラディカリストの態度にも通じる。他面、結果に対する無関心は、自分の行為の責任を神や社会や他人に押し付ける「あなた任せ」の無責任さにも通じ、価値目的のために手段を選ばないアナーキーな態度となることもある。一見カントの「よき意志」や動機の純粋さに似通っているが、あくまで行為論のレベルに設定された理念型であることに注意すべきである。[徳永 恂]
『M・ヴェーバー著、脇圭平訳『職業としての政治』(岩波文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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