家庭医学館 「急性喉頭蓋炎」の解説
きゅうせいこうとうがいえん【急性喉頭蓋炎 Acute Epiglottitis】
喉頭には、飲み込んだ飲食物が気管に入らないように喉頭を閉鎖する蓋(ふた)(喉頭蓋(こうとうがい))がありますが、この喉頭蓋に細菌が感染し、そこが腫(は)れる病気です。
B型インフルエンザ菌が感染しておこることが多いものです。
欧米では、子どもにおこりやすく、急激に呼吸困難がおこる病気として恐れられています。
日本では、成人がかかることが多いのですが(30歳代に発症のピークがあります)、ときに、子どもにもおこります。
[症状]
発熱などのかぜの症状とともに、咽頭痛(いんとうつう)(のどの痛み)、嚥下痛(えんげつう)(飲み込む際の痛み)がおこり、唾液(だえき)(つば)も飲み込めなくなって、よだれをたらします。声も、こもった声になります。
発症してから2時間くらいで、急速に呼吸困難におちいります。
[検査と診断]
頸部(けいぶ)側面のX線検査を行なうと、喉頭蓋が丸く腫れた陰影として映ります。
喉頭ファイバースコープ検査でも、喉頭蓋が腫れているのが見られます。
[治療]
診断がついたならば、入院のうえ、治療します。
補液と、インフルエンザ菌を含めた細菌に有効な抗生物質が点滴で用いられます。また、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン薬(ステロイド薬)も使用されます。
そのほか、抗生物質、副腎皮質ホルモン薬、血管収縮薬を含んだ液剤をネブライザーで噴霧し、喉頭蓋の腫れをとります。
重い呼吸困難がある場合には、気管内挿管(きかんないそうかん)や気管切開などの処置がとられます。
日常生活の注意としては、唾液が飲み込めないほどの咽頭痛が突然おこったときには、急いで耳鼻咽喉科(じびいんこうか)の診察を受けることが必要です。
生命に危険がありますので、休日や夜間であれば、救急車の出動を要請しましょう
きゅうせいこうとうがいえん【急性喉頭蓋炎】
欧米では、乳幼児に多い病気とされているのですが、日本では成人にみられます。
●症状
のどの痛みと発熱がおもな症状で、つづいて呼吸困難が現われます。喉頭蓋が丸くふくれ、声帯(せいたい)や気管が観察できません。
呼吸困難が急速に進み、数時間で窒息(ちっそく)の危険があります。朝、元気だった青年が、夕方、変わり果てた姿になることも、年間数例みられます。
●治療
必ず入院のうえ、強力な抗生物質の点滴が行なわれますが、気管切開や気管挿管の用意をしながら、あるいはあらかじめ気道確保のうえ、治療が行なわれます。いずれにしても油断をすると生命にかかわります。