江戸前期の俳人。名は源之丞(げんのじょう)。別号に素牛、風羅(ふうら)堂、鳥落人など。美濃(みの)国(岐阜県)関の人。元禄(げんろく)(1688~1704)初年芭蕉(ばしょう)に入門、1690年(元禄3)以降はよく師に随侍し、親愛せられた。とくに芭蕉最後の旅には、支考(しこう)らとともに随行、その病床にも侍した。師の没後は九州や東北、北陸地方を放浪し、1705年(宝永2)からは故郷に弁慶庵(べんけいあん)を結んで隠棲(いんせい)している。性は飄逸無頓着(ひょういつむとんじゃく)で、「風羅念仏」を唱導するなど奇行に富み、風狂のなかに清貧を楽しんで一生を過ごしたという。作風は軽妙洒脱(しゃだつ)、のちには口語調や無季の句まで試みた。享年60余歳。編著に『藤の実』(1702)、『二葉集』(1702)などがある。
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