日本大百科全書(ニッポニカ) 「愛輝」の意味・わかりやすい解説
愛輝
あいき / アイホイ
中国、黒竜江(こくりゅうこう)省北部、黒竜江(アムール川)右岸にある黒河(こくか)市の市轄区。内モンゴル自治区に隣接する。常住人口21万1313(2010)。1908年アイグン(愛琿)直隷庁、1913年アイグン県、1956年愛輝県となった。1983年黒河市に編入され、1993年同市の市轄区となった。1858年清(しん)とロシア間で結ばれたアイグン条約の締結地として有名。
北緯55度あたりであるが、7月の平均気温が22℃のため、春小麦、大豆のほか沖積平野では水稲が栽培され、水稲は世界の北限をなす。山地には針葉樹、広葉樹が豊富で黒河では製材、木工が盛ん。三つの炭鉱のほか金、鉛、鉄、重晶石、油母頁岩(ゆぼけつがん)などの鉱山もある。鉄道は「満州国」時代に北安(ほくあん)、嫩江(どんこう)に通じていたが、第二次世界大戦終了前に撤去された。黒竜江の水運は年間170~200日利用可能で、黒河から上下流に通じている。ロシア連邦との国境付近にある黒河空港は1969年に中ソ対立の影響で閉港したが、1984年に運航が再開された。対ロシア輸出入品の加工拠点としても知られる。
[浅井辰郎・編集部 2017年7月19日]