成人教育(読み)セイジンキョウイク(その他表記)adult education

翻訳|adult education

デジタル大辞泉 「成人教育」の意味・読み・例文・類語

せいじん‐きょういく〔‐ケウイク〕【成人教育】

社会教育一環として成人対象にして行う教育一般教養ほか趣味実技など多様な内容のものを含む。社会教育と同義で用いられることがある。

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精選版 日本国語大辞典 「成人教育」の意味・読み・例文・類語

せいじん‐きょういく‥ケウイク【成人教育】

  1. 〘 名詞 〙 成人の持つ特性を考慮し、組織的計画的な学習内容によって行なう社会教育。学校教育に対し、生産、労働、実生活と直接的に結びついている点に特色があり、自主的な自己教育として行なわれることを本質としている。→社会教育
    1. [初出の実例]「日本の教育が学校教育の或る体系を本幹として取り、成人教育の広汎なる部面を閑却したところより」(出典:経済往来‐昭和七年(1932)四月号・日本は何処へ行く?〈土田杏村〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「成人教育」の意味・わかりやすい解説

成人教育
せいじんきょういく
adult education

成人を対象とする教育をさし、成人が主体的に行う組織的な学習を含む。欧米では、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、民衆教育や労働者教育といわれたものが、しだいに成人教育とよばれるようになり、対象も一般成人に広がっていった。日本では、このことばは1920年代に社会教育のなかでよく使われるようになった。アメリカやイギリスでは大学開放大学拡張)、北欧やドイツなどでは民衆大学というように、学校型の成人教育が目だつ。

 日本でも、1919年(大正8)から文部省がその直轄学校で公開講座を開き、23年からはこれを成人教育講座と称するようになる。当初は学校教育の機会の不足していた人々が主対象であったが、今日では学歴に関係なく、教養を高めたり、生活課題に取り組んだりする学習のほか、職業上の知識・技術を身につける学習が盛んになっている。識字などの成人基礎教育から専門職の継続教育まで、その範囲は広い。地域の施設や団体によっても多様な成人教育が展開されており、生涯教育の動きのなかで、成人教育の重要性が増している。

[上杉孝實]

『アーノルド・S・M・ヒーリー著、諸岡和房訳『現代の成人教育――その思想と社会的背景』(1972・日本放送出版協会)』『上杉孝實・大庭宣尊編『社会教育の近代』(1996・松籟社)』

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図書館情報学用語辞典 第5版 「成人教育」の解説

成人教育

学齢期を越えた成人が市民生活に必要な知識を得たり個人の発展や生活向上を実現させていくために,多様な社会機関によって組織化されたプログラムを通じて行う自己教育活動.公共図書館における成人教育は,成人の継続学習の必要性と情報収集の重要性を前提としている.図書館は読書相談,学習相談サービスを中心に,学習関連情報の提供や教育的プログラムの企画や実施など,成人教育活動をサポートするさまざまなサービスを提供している.

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百科事典マイペディア 「成人教育」の意味・わかりやすい解説

成人教育【せいじんきょういく】

社会教育の一部で,成人に対して教育と研究の機会を提供し,その社会人としての向上を図る教育活動。社会教育と同義にも使われる。英国で大学拡張と結合して最も早く発達。日本でこの語を使用した運動は,大正中期に始まり,1929年文部省社会教育局に成人教育課を設置。現在,成人学級,婦人学級,青年学級,サークル活動など多様な形態がある。マスコミによるカルチャー・センターもその一翼を担っている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「成人教育」の意味・わかりやすい解説

成人教育
せいじんきょういく
adult education

広義には,一般成人を対象とし,学校教育で習得した知識,技能の基盤のうえに,社会生活に必要な各種の学習の機会を提供する教育をさす。成人教育の課程は,大学が提供することが多く,これは大学拡張などと呼ばれるが,高等教育とはみなされない。日本では社会教育の一部として位置づけられているが,欧米,特にイギリスでは成人学校や大学拡張運動と結合して早くから発達した。

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改訂新版 世界大百科事典 「成人教育」の意味・わかりやすい解説

成人教育 (せいじんきょういく)

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世界大百科事典(旧版)内の成人教育の言及

【社会教育】より

…学校教育以外の領域において組織される教育・学習活動の総称であって,ときにひろく文化活動やスポーツ活動も含まれる。
[用語と概念]
 社会教育という用語は日本独自のものであって,欧米では一般にadult education(英語),Erwachsenenbildung(ドイツ語),éducation populaire(フランス語)など成人教育,民衆教育の語が用いられる。近代以降の社会教育をみると,国家による民衆教化に抗して,社会的に自立した成人や勤労青年をその主体とし,自己教育活動をその本質ととらえようとする思想と実践が展開されてきた歴史がある。…

【生涯教育】より

…現代社会の教育とくに公教育のあり方を〈一生涯にわたる教育〉という見地から広く社会的にとらえなおし,総合的に再編成しようとする新しい教育変革の原理ないし構想の総称。1965年,パリで開かれたユネスコの成人教育推進国際委員会で,P.ラングランが提唱し採択されて以来,国際的に注目され展開されるようになった。このことからも知られるように,今日の生涯教育論は元来,歴史的には学校教育の開放あるいは延長として自覚されてきた社会教育(成人教育)の発展に負うところが多い。…

【労働者教育】より

…(3)では,その公的保障をめぐって緊張をはらんだ問題がある。現代人権思想の発展の下で,自己教育運動の社会教育的意義をとらえて公的な援助や行政への参加を保障する原理は,日本の社会教育法にも定着しているが,イギリスの成人教育規定(1924)が〈補助すれど支配せずsupport but not control〉をかかげながら,〈市民精神の涵養〉をうたって一部の独立労働者教育運動団体を国庫補助の対象としないという矛盾は現代にも続いている。しかし,近年国際的に労働者の有給教育訓練休暇の制度化がすすむなかで,その教育活動を労働組合が担う事例がフランスやイタリアを中心として展開され,労働者の自己教育運動はみずからの手で公的保障のあり方を定める力をもちつつある。…

※「成人教育」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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