成人発症スチル病(読み)せいじんはっしょうすちるびょう(その他表記)Adult Onset Still's Disease

家庭医学館 「成人発症スチル病」の解説

せいじんはっしょうすちるびょう【成人発症スチル病 Adult Onset Still's Disease】

[どんな病気か]
 若年性関節(じゃくねんせいかんせつ)リウマチ(「若年性関節リウマチ」)のうち、全身型(スチル病)が成人に生じた病気です。16~35歳で発病することが多く、患者さんの男女比は、同じか、やや女性に多い程度です。
 症状は、高熱、関節炎、皮疹(ひしん)に特徴があります。1日に1~2回のピークをもつ高熱とともに、からだの胴体(どうたい)、四肢(しし)(手足)、顔面にサーモンピンク色の紅斑(こうはん)が現われます。
 この皮疹(ひしん)(リウマトイド疹(しん))は、熱が下がれば消えます。典型的な場合には、ケブナー現象といって、まだなんでもない皮膚を爪(つめ)などでかくと、そこに皮疹が現われます。
 朝のこわばりをともなって、左右対称的に少数の関節に炎症が生じます。また、咽頭(いんとう)(のど)や腹部が痛むことがあります。
 半数以上の患者さんにリンパ節肝臓脾臓ひぞう)の腫(は)れがおこります。心膜炎(しんまくえん)、胸膜炎(きょうまくえん)がみられることもあります。
[原因]
 原因は不明です。しかし、関節リウマチと似ていることから、自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)(免疫のしくみとはたらきの「自己免疫疾患とは」)とする説や、フェリチン(鉄を貯蔵する能力のあるたんぱく質)が血中に異常に増えることから、網内系(もうないけい)(血球(けっきゅう)やリンパ球などをつくり出す組織)の異常とする説などがあります。
[検査と診断]
 白血球(はっけっきゅう)の増加や血小板(けっしょうばん)の増加、C反応性たんぱくの増加など、炎症があると生じる変化のほかに、フェリチンの値の著しい増加(正常な人の上限の5倍以上になります)がみられます。
 自己抗体(じここうたい)は、ふつう陰性で、しばしば肝臓の機能の異常や、血中γ(ガンマ)グロブリン(免疫にかかわる血清(けっせい)たんぱく)の高値がみられます。
 診断には、間欠的(かんけつてき)な高熱がどのような病気で生じているかをみきわめることが必要です。とくに、悪性腫瘍あくせいしゅよう)(悪性(あくせい)リンパ腫(しゅ))、感染症、血管炎などである可能性を除いて診断されます(コラム「成人発症スチル病の予備的分類基準」)。
[治療]
 非ステロイド抗炎症薬、ステロイド(副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン)薬、抗リウマチ薬が使われます。
 1回の発熱発作でおさまる場合と、発熱発作をくり返す場合とがあります。
[日常生活の注意]
 高熱の出る急性期には入院が必要です。脱水(だっすい)症状や全身の消耗に注意します。
 薬剤の使用による肝臓障害がおこりやすいので、医師の処方した薬以外は内服しないように気をつけます。食事は栄養価とバランスに配慮します。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「成人発症スチル病」の意味・わかりやすい解説

成人発症スチル病
せいじんはっしょうスチルびょう

若年性関節リウマチのスチル病が成人に発症したもので,1971年,イギリス人医師バイウォーターズが報告した。成人に発病する場合も急激で,全身症状が著しい。 50%の患者では,関節症状は関節痛のみで,関節の腫脹 (しゅちょう) は見られない。ロイマトイド疹,脾臓の腫大,リンパ節のはれのほか,心外膜炎,腹痛を伴うことがある。

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