成文法不文法(読み)せいぶんほうふぶんほう

改訂新版 世界大百科事典 「成文法不文法」の意味・わかりやすい解説

成文法・不文法 (せいぶんほうふぶんほう)

文字で書きあらわされ文書の形をとるものが法の存在形式=法源となるものを成文法という。これに対して不文法は法源のうち成文法以外のものをいう。成文法は制定法とも呼ばれる。日本はヨーロッパ大陸法系に属しており,国民生活のほとんどすべての分野において成文法が存在するが,このように成文法が国法の基本となっている場合には成文法主義と呼ばれる。これに対して英米法系の諸国では裁判所の判例集積が国法の基幹的部分を構成しており,判例法主義または不文法主義をとっている。不文法のうち重要なものは慣習法判例法である。慣習法は〈事実たる慣習〉にもとづいて成立する法であり,その成立要件として,慣習が成員の規範意識により支持されており及びそれが公序良俗に反しないことが必要とされる。判例は,成文法主義をとる日本において,先例拘束性が認められておらず形式的には法源性を有しないが,他方,現在では判例法主義の国々においても先例の絶対的拘束力は存在せず,また日本でも実際上は裁判において判例が尊重されていることを考えると,日本において判例は事実上の法源の地位を有しているといえる。なお成文法は,法源のとり方によっては制定法より広い概念となりうる。たとえば労働協約法人定款および約款などの自治的法規や協約規範は,それらを法源と認める場合には,あるルールを成文の形で表現したものである。成文法は一義的で明確であり,法的安定性の要請が求められる今日その重要性は高まっているが,反面社会の変化に対して固定化する傾向がある。
判例 →法源
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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