日本大百科全書(ニッポニカ) 「我輩はカモである」の意味・わかりやすい解説
我輩はカモである
わがはいはかもである
Duck Soup
アメリカ映画。1933年作品。日本公開は翌1934年。常識を破壊するようなナンセンスなギャグの応酬で知られるマルクス兄弟の代表作で、末弟ゼッポZeppo(1901―1979)を含む4兄弟時代の最後の作品でもある。財政難のフリードニア国が新指導者ファイアフライ(三男グルーチョGroucho、1890―1977)を迎えた混乱に乗じて、隣国の大使はフリードニアの乗っ取りを企む。さっそく2人組のスパイ(長男チコChico、1887―1961と次男ハーポHarpo、1888―1964)が送り込まれるが、ファイアフライはスパイらといっしょになって傍若無人な言動を繰り返し、両国はついに戦争へと突入する。監督は無声期から多くの喜劇映画で鳴らしたレオ・マッケリー。グルーチョに変装したハーポがグルーチョ本人と鉢合わせをしてとっさに演じる鏡のギャグが有名だが、これはマッケリーのアイデアとされる。興行的には振るわなかったものの、ファシズムの台頭に揺れる世界情勢を痛烈に皮肉った傑作として現在では高い評価を受けている。
[藤井仁子]