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戦争と平和 せんそうとへいわVoina i mir

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

戦争と平和
せんそうとへいわ
Voina i mir

ロシアの作家 L.トルストイ長編小説。 1863~69年発表。4編とエピローグから成る。ナポレオン軍がロシアに近づきつつあった 05年から,ナポレオン戦争の時代を通じて多数の登場人物の愛と苦悩を描いた,世界文学史に残る作品。

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デジタル大辞泉の解説

せんそうとへいわ〔センサウとヘイワ〕【戦争と平和】

《原題、〈ロシア〉Voyna i mirレフ=トルストイの長編小説。1863~1869年作。ナポレオンのロシア侵攻という歴史的事件を背景に、19世紀初頭のロシアの社会と人民の姿を描いた壮大な歴史小説。
亀井文夫山本薩夫の共同監督による映画の題名。昭和22年(1947)公開。出演、伊豆肇、岸旗江、池部良ほか。憲法普及会の支援を得て制作された、大映・松竹・東宝による憲法発布記念映画3作の一つで、戦争放棄をテーマに東宝が制作を担当した。

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百科事典マイペディアの解説

戦争と平和【せんそうとへいわ】

L.トルストイの長編小説。《Viona i mir》。1868年―1869年に6巻構成の単行本として出版。1812年のナポレオン軍によるロシア侵攻を中心にすえ,その前後十数年のロシア社会を,〈戦争〉と〈平和〉の両面から壮大な規模で描きだした歴史大作。

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デジタル大辞泉プラスの解説

戦争と平和

宝塚歌劇団による舞台演目のひとつ。脚本:植田紳爾。1988年、宝塚大劇場にて星組が初演。原作はレフ・トルストイの同名小説。

戦争と平和

1956年製作のアメリカ・イタリア合作映画。原題《War and Peace》。監督:キング・ビダー、原作:レオ・トルストイ、出演:オードリー・ヘプバーン、ヘンリー・フォンダ、アニタ・エクバーグ、メル・フェラーほか。

戦争と平和

1966-67年製作のソ連映画。トルストイの同名小説の映画化。監督:セルゲイ・ボンダルチュク、出演:リュドミラ・サベーリエワ、セルゲイ・ボンダルチュク、ビャチェスラフ・チーホノフほか。第41回米国アカデミー賞外国語映画賞受賞。

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世界大百科事典 第2版の解説

せんそうとへいわ【戦争と平和 Voina i mir】

ロシアの作家L.N.トルストイの長編小説。1865年から69年にかけて発表された。1805年のアウステルリッツの戦から12年のモスクワ大火に至る,ロシアとナポレオン軍との戦争を背景として,ボルコンスキー公爵家とロストフ伯爵家両家の家族年代記を織りこんだ歴史小説である。この両家は作者トルストイのそれぞれ母方,父方の家をモデルとしているが,この両家を結びつけるのがトルストイの自画像であるピエール・ベズーホフである。

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大辞林 第三版の解説

せんそうとへいわ【戦争と平和】

レフ=トルストイの長編小説。1869年完成。ナポレオンのロシア侵入を背景にロシア国民全体の姿を壮大かつ克明に描く。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

戦争と平和
せんそうとへいわ
Война и мир Voyna i mir 

ロシアの作家レフ・トルストイの叙事詩的長編小説。現代の『オデュッセイア』と称される。1863~69年執筆。1805年、列国同盟の一員としてロシアは遠征軍を西南ドイツ地方に進めたが、アウステルリッツの会戦でナポレオン軍に敗れ、07年ティルジットの講和で、トルコに対する軍事行動の自由と引き換えに、大陸封鎖に加わることを約し、イギリスとの通商の断絶を余儀なくされた。このことは当時のロシアにとって商業の破滅を意味した。貿易封鎖は耐えがたいものになった。イギリスとの取引はひそかに再開され、ティルジットの協定は破られ、ここに12年のナポレオン戦争が始まる。こうした有史の諸事件を舞台に、列国の政・官・財界の代表者、軍事や外交の立役者たち、名将クトゥーゾフやロシアのクロムウェルとよばれる改革家スペランスキーをはじめとする有名無名の歴史上の人物から、プラトン・カラターエフに代表される架空の農奴農民に至るまで、その登場人物は名前で記されただけでも559名を数える。
 トルストイにとって『戦争と平和』は、こうした人物たちが織り成す「幾百万のかかわりあいを考究し、そのなかから百万分の一を選びとる」難事業であった。その打開策としてトルストイの視点は代表的なロシア貴族の若い世代に向けられた。彼らの生きた歴史のうちに、破滅の淵(ふち)にたたされたロシアがナポレオン戦争に逆転勝利したことの革命的な意味を未来にわたって問う糸口が開かれたのである。在野の地主ロストフ家のニコライとナターシャ、かつての顕臣ボルコンスキー家のアンドレイとマリヤ、富豪ベズーホフ家の庶子ピエール、政略を事とするクラーギン家のエレンとアナトーリ――その個性と環境、教養と志向、肉体と精神を対照的に表示するこれら青春群像が、歴史の進展をそれぞれに呼吸しつつ、愛憎の葛藤(かっとう)で結ばれ、国運の潮汐(ちょうせき)に呼応して生死のドラマを展開する。作者は個人の運命を国民的主題からそらさず、また1人の運命をも国民的課題によって無視することなく物語を進めた。ここに本書の革新性のすべてがある。「完了した」人生からの脱出をナポレオン的栄光の獲得にかけてアウステルリッツの会戦に臨んだアンドレイは、被弾して人事不省に陥る。やがて卑小なナポレオンの声を聞き、昏睡(こんすい)から覚めた目に映る果てしない秋の青空に彼は英雄的行為のむなしさを思い知らされ、帰郷しては妻の産後の死を告げられる。一方、ナポレオンの賛美者として登場した前途茫洋(ぼうよう)たる未定形の巨漢ピエールは、不貞な妻エレンとの結婚生活につまずき、決闘事件ののち、フリーメーソンの教義にひかれたり、領地農民の解放事業に貢献したりするが、人生の意義への懐疑は消えず、その生活は停滞する。こうした逆境のなかで人生への不信に沈湎(ちんめん)する『戦争と平和』の二大主人公にふたたび生活への活力を与えたのがロストフ家のナターシャである。彼女は最年少の13歳で、太陽のごとき光源として物語に登場し、その天衣無縫の飛躍力を駆使して生の一瞬一瞬を最大限に意味づける。早春の旅の途中ロストフ家に一泊したアンドレイは、その夜、階下から聞こえるナターシャの歌声に魅せられ、さらに翌朝、庭を遠く駆けて行く彼女の後姿をかいまみて、いままで知らなかった生の躍動を覚えた。ただそれだけのことで、生活の意義を完全に見失っていたアンドレイが、「人生はまだ終了していない」ことを実感する。往路に見た老いた裸の楢(なら)の木が帰路には勢いよく芽吹き出している。ナターシャとの出会いがアンドレイにもたらした心象の変化が、みごとにこの風景に描き出されたのである。
 アンドレイとの婚約後、アナトーリの誘惑の魔手に落ち、衰弱死に近い危機の瞬間にあってさえ、戦争前夜の病めるナターシャはかえってピエールをして生への熱い思いに復帰せしめる不思議な力を発揮する。こうした彼女の存在に支えられて『戦争と平和』の無数の歯車が、ボロジノの決戦からモスクワの炎上を経て、やがてロシア民衆が農奴制の歴史的限界を乗り越えて解放戦争へと決起する国民的潜熱に連動して回転するのである。作者は、ナターシャにみとられつつ戦死するアンドレイには仇敵(きゅうてき)アナトーリをも赦(ゆる)す神の福音(ふくいん)を与え、やがてナターシャと結ばれるピエールには捕虜生活で出会ったカラターエフの農民的人生哲学を授け、マリヤと結婚して農地経営に成功するニコライには勤労の喜びを与え、アンドレイの遺児ニコライには社会正義の理想を植え付けた。これらの内容は、作者による登場人物の評価の基準が、ロシア革命の原点となるデカブリストの乱を展望しつつ閉じていくこの雄編の美学的な帰結とも深くかかわっている。[法橋和彦]
『『戦争と平和』(米川正夫訳・全八冊・岩波文庫/工藤精一郎訳・全四冊・新潮文庫/北垣信行訳・全六冊・講談社文庫) ▽本多秋五著『増補「戦争と平和」論』(1970・冬樹社) ▽I・バーリン著、河合秀和訳『ハリねずみと狐』(1973・中央公論社)』

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世界大百科事典内の戦争と平和の言及

【ナポレオン】より

…1927年製作のフランス映画。《戦争と平和》(1919),《鉄路の白薔薇》(1923)に次いでアベル・ガンス監督がサイレント映画史に残した傑作として知られ,〈映画的効果の百科事典〉〈サイレント映画に可能なことのすべてを陳列して見せた絢爛豪華な大展覧会〉(ケビン・ブラウンロー評)とまでいわれるように,すばやく,たたきこむように短いカットをつないでスピード感を出す〈フラッシュ・カッティング〉や分割画面,あるいは軽量カメラを馬の背や振子にくくりつけての撮影等々,文字どおりあらゆる映画的技法が〈光の交響楽〉をつくりあげている。さらに3台のカメラで撮影した映像を3面のスクリーンに映写する〈ポリビジョン〉(または〈トリプル・エクラン(三面スクリーン)〉)と命名された映写方式がこの映画のためにガンス自身によって考案され,あるときは一つのイメージが三つの画面にひろがり,またあるときは三つのスクリーンに別々のイメージが映し出され,ラストのイタリア出撃のシーンをはじめ,いくつかのシーンで用いられて圧倒的なスペクタクル効果を上げた。…

※「戦争と平和」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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