戦争神経症(読み)せんそうしんけいしょう(その他表記)war neurosis
battle fatigue

精選版 日本国語大辞典 「戦争神経症」の意味・読み・例文・類語

せんそう‐しんけいしょうセンサウシンケイシャウ【戦争神経症】

  1. 〘 名詞 〙 戦争によって起こる精神的な病状総称。特に、戦時軍隊内にみられる各種の神経症をいう。戦争の状態から離れることによって急速に回復する場合と、回復が急速でない場合とがある。

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改訂新版 世界大百科事典 「戦争神経症」の意味・わかりやすい解説

戦争神経症 (せんそうしんけいしょう)
war neurosis
battle fatigue

戦時に軍隊内で発生する神経症の総称。神経症は性格要因と環境要因とが絡み合って発症するものであるが,戦争神経症では環境要因の影響が強い。すなわち,平時市民生活とはまったく異なる環境に適応できずに発症するのである。実戦経験前の兵士は,不安,緊張から動悸,呼吸促迫,腹痛吐き気などを感ずることが多く,一定期間の戦闘に従事すると,いらだち,不眠が出現し,ささいなことでどなり合うようになる。動作は緩慢となり,身辺に無関心となる。さらに悪化すると,無意味な行動を繰り返したり,物音に走り出したり,あるいは精神的に無反応の状態となり,回復後その記憶を失っていることもある。また,失立,失歩,失声など,平時の市民に比較すると劇的なヒステリー症状を呈することも多い。ベトナム戦争後,この病態は外傷後ストレス障害(PTSD)とされるに至っている。
神経症
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「戦争神経症」の意味・わかりやすい解説

戦争神経症
せんそうしんけいしょう

戦争という特殊な非常事態に際し、軍隊の内外でみられるさまざまな異常体験反応の総称。一般神経症と学問的になんら異ならない。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「戦争神経症」の意味・わかりやすい解説

戦争神経症
せんそうしんけいしょう
war neurosis; battle fatigue

戦時の軍隊内,特に前線の戦闘部隊で起る神経症。ヒステリー反応が過半を占める。戦争神経症に対しては,心理的に破綻をきたしやすい兵士のタイプを考えるよりも,どのような状況がどの程度持続したら心理的な破綻が起るのかという発想に基づいて,休暇の与え方や部隊の交代などを工夫することが大切とされている。戦場において起る急性戦闘反応 (食欲不振,不眠,錯乱,失神など) のほかに,一般生活に戻ってから起る遅発性の反応 (悪夢,無感動など) もある。

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