払米(読み)はらいまい

精選版 日本国語大辞典 「払米」の意味・読み・例文・類語

はらい‐まいはらひ‥【払米】

  1. 〘 名詞 〙 江戸時代、お蔵米の払い下げをうけること。また、その米。〔御触書寛保集成三四・享保一七年(1732)一二月〕

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百科事典マイペディア 「払米」の意味・わかりやすい解説

払米【はらいまい】

江戸時代,領主層が収納した年貢米蔵米)を売却(売払い)して換金することをいう。また売り払う米をも払米と称した。年貢米の大部分は江戸および大坂など幕府直轄領の大都市で,蔵元・掛屋(かけや)・札差(ふださし)などと呼ばれる有力商人に売却され,換金された。大坂では主に西国米・北国米が売られ,その主体は各藩の蔵屋敷から出される藩米で,堂島(どうじま)の米仲買入札により払米された。江戸では関東・東北・中部地方の藩米と幕府米が売却された。うち蔵米取りの幕府家臣団の俸禄に充てられる幕府米がかなりの部分を占め,札差によって換金された。このほか各大名の国元や各村で地方の米問屋や在郷商人により払米されることもあり,これは地払(じばらい)・在払(ざいばらい)・郷払(ごうばらい)・村払(むらばらい)などと称された。
→関連項目米切手城米

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改訂新版 世界大百科事典 「払米」の意味・わかりやすい解説

払米 (はらいまい)

江戸時代において年貢米(蔵米)を売り払って換金化する行為,またその売払米を総称する。年貢米の多くは大坂,江戸等の幕府直轄の大都市で換金化された。しかし大名領など国元での払米や村段階の払米もあり,前者は地払,後者は在払,郷払,村払などとも称された。いずれも払米の一形態である。大坂での払米は各蔵屋敷入札方式によって行われた。入札の時期は西国・北国米は8~10月ごろから,その他は翌年の3,4月ごろからであった。入札は堂島米仲買により独占的に行われ,落札者は翌日に蔵屋敷へまず敷銀を納め,のち掛屋から請取書である銀切手を受領した。銀切手は蔵屋敷でさらに米切手と引き替えられる。以上のような一般的な払米の手続を経たうえで,米仲買はこの米切手と引替えに蔵屋敷から現米の引渡しをうける。これを出米(でまい)と呼んだ。
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世界大百科事典(旧版)内の払米の言及

【インドネシア】より

…この小説の中で,民族主義者でもあった作者は,主人公と欧亜混血女性コリーとの結婚をテーマにして,村を捨て去りながら結局オランダ人社会にも入れられず破滅する西洋かぶれの青年官吏の悲劇を描いている。この作品は,健全な良書を供給することを任務とした政府機関バライ・プスタカ(図書局)から出版されたが,同局はコリーの描き方に手直しを求めて出版したという。 本格的な文学運動が始まったのは,新しいインドネシア統一文化の創造を目指す文学雑誌《プジャンガ・バル(新詩人)》(1933‐42)の創刊によってであった。…

※「払米」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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