米切手(読み)こめきって

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

米切手
こめきって

江戸時代,諸大名,旗本などの蔵屋敷が発行した蔵米の保管証書で,正米 (しょうまい) 切手と空米 (からまい) 切手の別があった。正米切手払米 (はらいまい) 切手,出米 (でまい) 切手などとも呼び,蔵屋敷に蔵米が到着し,落札者に払出すまでの,蔵出準備のある場合のもの,空米切手とは代銀先納の場合,保有量以上の取引の場合,金銀調達の担保とする場合などに発行されたもので,後者はしばしば市場を混乱させた。1俵の容量に差があって,切手には 20俵,30俵などの表示と蔵の名を書くが,切手1枚は常に米 10石を表わす定めであった。

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百科事典マイペディアの解説

米切手【こめきって】

江戸時代,大坂などの蔵屋敷蔵米が入札で売却された際,落札者に対して蔵屋敷が発行した払米(はらいまい)の保管証券。払米切手・出米(でまい)切手ともいい,16世紀半ば以前からみられた。落札者である米の仲買人は,米を処分するまで蔵屋敷に保管を依頼した。切手は西の内(にしのうち)・泉貨紙(せんかし)などの厚紙を用い,蔵名前・俵数・切手番号・落札人氏名・発行日などのほか,水火の災難は蔵屋敷に責任のないことなども記してあった。
→関連項目切手

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世界大百科事典 第2版の解説

こめきって【米切手】

江戸時代,大名・旗本・神社仏閣などの諸家は原則として米穀で収納した貢租の貨幣化を図る必要から,諸国物産の中央集散市場大坂に蔵屋敷・用所を置いた。米切手とはこの蔵屋敷が蔵米販売の際発行した払米(はらいまい)保管証券で,正徳・享保期(1711‐36)まで米手形と称した。払米切手,出米切手ともいい,米仲買が蔵屋敷の払米告示を受けて入札・落札し,翌日敷銀を納め,法定蔵出期限までに残銀を掛屋(かけや)に完納し,その代銀完納請取証を蔵屋敷に持参して,これと交換に受け取った。

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大辞林 第三版の解説

こめきって【米切手】

江戸時代、諸藩の蔵屋敷が出した入札済みの蔵米の引き渡し証。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

米切手
こめきって

江戸時代、諸藩蔵屋敷が販売した米に対して発行したもので、本来、倉荷(くらに)証券的なもの。普通、仙花紙(せんかし)四つ切りを用い、俵数、蔵屋敷名、切手番号、買い手氏名、買い手期日が記載された。1枚で10石の米高を表す。通常、蔵出期限が記載され、保管中の損耗は切手所持者の負担であると明記されているが、これは江戸後期には装飾文言化した。米切手は形態別には、落札者・落札日の記載のある「落札切手」と、それらがない「坊主(ぼうず)切手」に分かれる。また発行の契機別にいうと、落札によって発行された「出(で)切手」と、借金の担保として発行された「先納(せんのう)切手」とがある。普通、落札切手は出切手の形態で、また先納切手は坊主切手の形態であったが、諸藩の財政難が深刻化した江戸後期には出切手タイプの先納切手が多量に発行された。しかし、先納切手はもともと現米の裏づけのない切手であったから、これにより現米が請求された場合、蔵屋敷は苦境に陥った。この場合この米切手は空米(くうまい)切手とか過米(かまい)切手とよばれた。[宮本又郎]

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精選版 日本国語大辞典の解説

こめ‐きって【米切手】

〘名〙 江戸時代、大坂の蔵屋敷で、蔵米を落札した者に、蔵屋敷が発行した米の引き換え札。
※御触書寛保集成‐三四・享保二〇年(1735)一〇月「大坂にては米切手売之儀も右同前相心得」

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世界大百科事典内の米切手の言及

【大名貸】より

… その選別で除外された藩は,浜方からの借入れに依存した。浜方とは,幕府が米価引上策として堂島米会所における米切手売買,帳合米取引を行う米仲買と,帳合米取引の清算機関たる米方両替とであって,米切手を担保とした大名貸である。その米切手は未着米に発行されたという意味で〈先納切手〉,また実米の裏づけがないという意味で〈調達切手〉と俗称された質入切手である。…

※「米切手」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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