改訂新版 世界大百科事典 「抜根機」の意味・わかりやすい解説
抜根機 (ばっこんき)
樹木を伐採したあとに残った根株を,人力,畜力,動力などによって地中より引き抜いたり掘り起こしたりするのに使う機械。開墾による農地造成や桑園の土地改良の作業に用いられるが,開墾地への畜力用や動力用の機械導入は困難な場合が多かったため,昔は安全で能率よく抜根できるウィンチ式の人力用小型巻上牽引(けんいん)機が考案され,抜根機として利用された。この人力用抜根機は,手動ハンドルの操作によりチェーンブロックを作動させ,大きな牽引力を得るもので,最大3tくらいの牽引力を発生でき,樹径18cm程度までの抜根が可能である。抜根作業には本機のほかにワイヤロープ,滑車,大型バイス,ハンドル用補助パイプなどを用いる。これらを使っての抜根法には,丸太などで組んだ三脚を用いて,根株を上方に引き抜く立引法と,親株を基にして根株を側方に引き倒す横引法がある。滑車を利用して牽引すると力は倍増し,より抵抗の大きい根株を抜くことができる。しかし,現在では開墾の規模が大きくなり,またブルドーザーなどの大型機械が発達したため,能率の低い人力用抜根機に代わってレーキドーザーなどのドーザー類を利用した高能率抜根作業が行われている。
レーキドーザーはブルドーザーの排土板の代りにレーキrakeを取り付けたもので,レーキ爪を根株に突っ込み,これを持ち上げながら前方に押し動かして掘り出す。レーキドーザーは,主として樹径20~100cm程度の根株掘出しに利用されている。
執筆者:岡本 嗣男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報