捜査特別報奨金制度(読み)ソウサトクベツホウショウキンセイド

デジタル大辞泉 「捜査特別報奨金制度」の意味・読み・例文・類語

そうさとくべつほうしょうきん‐せいど〔サウサトクベツホウシヤウキン‐〕【捜査特別報奨金制度】

警察庁が実施する公的懸賞金制度。平成19年(2007)4月より導入都道府県警察捜査中の事件のうち、警察庁が指定したものについて、容疑者確保につながる有力な情報を提供した人に上限300万円の報奨金(特に必要がある場合は最大1000万円まで増額)が支払われる。匿名警察職員およびその家族・共犯者などによる情報提供は対象から除外される。
[補説]警察庁は平成21年(2009)6月、英国人女性殺害・死体遺棄事件(平成19年3月発生)の指名手配容疑者(当時)に対する報奨金を、当初の100万円から最高額の1000万円に増額。複数の有力な情報を含む多数通報が寄せられ、同年11月に容疑者は逮捕された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「捜査特別報奨金制度」の意味・わかりやすい解説

捜査特別報奨金制度
そうさとくべつほうしょうきんせいど

警察庁が、重要凶悪犯罪の犯人逮捕に結びつく情報提供を広く国民から受けるために設けた懸賞広告制度。2007年(平成19)4月1日より導入。公的懸賞金制度ともいう。

 当制度が導入された背景には、犯罪の広域化や手口の巧妙化が進む一方で、地域社会の人間関係が希薄化し聞き込み捜査による情報が得られにくくなっていること、大量生産品の普及により凶器などの遺留品からの犯人特定がむずかしくなってきたことなど、捜査環境が悪化している状況があった。そこで捜査力を強化し、重要犯罪の検挙を徹底するための取組みの一つとして導入された。

 捜査特別報奨金は、都道府県警察が捜査中の事件のうち警察庁がとくに指定した事件について、有力な情報を提供した者のうちの優等者に対して、民法第529条および第532条の規定に従って支払われる。対象事件は、(1)警察庁指定特別手配容疑者、同重要指名手配容疑者の関係事件、(2)容疑者未特定の社会的反響が大きい特異または重要な殺人放火・強姦(ごうかん)・略取誘拐などの凶悪事件(発生から半年が経過している、捜査本部開設事件であることなどが条件)である。都道府県警察の長からの申請に基づき、警察庁刑事局長が、警察庁長官官房審議官(刑事局担当)を委員長とする捜査特別報奨金審査委員会に諮って決定する。広告は官報に掲載し、応募期間は原則として1年。前記(1)の事件の報奨金は上限100万円、(2)の事件の報奨金は上限300万円(特例で1000万円まで増額可能)。報奨金額は事件解決への寄与の度合いに応じて上限額の範囲内で決められる。なお、匿名者、警察職員およびその親族、共犯者、情報入手の過程で犯罪等を行った者などは支払対象から除外される。

[編集部]

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