掃部(読み)カモリ

デジタル大辞泉 「掃部」の意味・読み・例文・類語

かもり【掃部】

《「かにもり(蟹守)」の音変化。一説に「かむもり(神守)」からとも》「かもん(掃部)」に同じ。〈色葉字類抄

かもん【掃部】

《「かもり」の音変化》
掃部寮かもんりょう」に同じ。
掃部寮の下級職員。

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精選版 日本国語大辞典 「掃部」の意味・読み・例文・類語

かもん【掃部】

  1. 〘 名詞 〙
  2. かもんりょう(掃部寮)
    1. [初出の実例]「掃部奉仕四方拝御装束、立御屏風八帖、鋪御座三枚於其内云々」(出典西宮記(969頃)一)
  3. 掃部寮の下級職員。
    1. [初出の実例]「凡諸司伴部者。各以負名氏入色者之。〈略〉但主殿寮殿部。掃部寮掃部。主水司水部。並取負名外異姓白丁五人」(出典:延喜式(927)一八)

かん‐もり【掃部・掃司】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「かむもり」とも表記 )
  2. ( 掃部 ) =かもんりょう(掃部寮)
    1. [初出の実例]「諸寮の中に、大舎人内蔵掃部(カムモリ)大炊主殿など古也」(出典:随筆玉勝間(1795‐1812)一)
  3. ( 掃司 ) =かもりづかさ(掃部司)
    1. [初出の実例]「とのもりかむもりの女官かほもしらぬをり」(出典:紫式部日記(1010頃か)寛弘五年九月一五日)

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改訂新版 世界大百科事典 「掃部」の意味・わかりやすい解説

掃部(守) (かにもり)

掃守連(むらじ)の祖の天忍人命(あめのおしひとのみこと)が雄略天皇代に掃除の事を監したので掃守連の姓を与えられたという《新撰姓氏録》の説話から,掃守氏は律令制国家以前に宮殿の掃除・鋪設に奉仕した伴造(とものみやつこ)であることがわかる。令制の掃部司・内掃部司・春宮坊主殿署の掃部や殿掃部は伴部である。掃守,掃部は古くは〈かむもり〉と訓ずるが,《古語拾遺》に天忍人命が神武天皇の父の誕生の際の海辺の産屋に供奉しカニをほうきではらったので蟹守(かにもり)と号したと伝えるのは,〈かむもり〉の転訛の〈かにもり〉による語呂合せにすぎない。むしろ,〈かむ〉は〈かみ〉の転訛で,高い所,すなわち殿上・座上を意味するとすれば,〈とのもり〉(主殿)の例を勘案して,〈かむもり〉は殿上を掃除して守る職を示したとも考えられるが,なお未詳。河内国高安郡掃守郷,和泉国日根郡掃守郷は掃守氏の居住地とも考えられる。一族からは遣唐使や遣新羅使も出ている。掃守田首,掃守田毗登の氏姓は掃部の管する藺田等の関係から注目される。
掃部寮(かもんりょう)
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世界大百科事典(旧版)内の掃部の言及

【部民】より

…その上部に官人の統率者としての臣(おみ)・連(むらじ)・伴造(とものみやつこ)という階層,その下に実務を担当する百八十部(ももあまりやそのとも),そして各職務に応じ生産・貢納に従う品部(しなべ∥しなじなのとも)という,上下の統属関係にもとづくピラミッド型の官司制を成立させたと考えられる。 まず伴として,畿内の中小豪族を任ずる殿部(とのもり)(天皇の乗輿,宮殿の調度,灯火をつかさどる),水部(もいとり)(供御の清水や氷をつかさどる),掃部(かにもり)(殿内の掃除をつかさどる),門部(かどもり∥かどべ)(宮殿の諸門の守衛をつかさどる),蔵部(くらひと)(内蔵,大蔵の出納をつかさどる),物部(もののべ)・佐伯部(さえきべ)(軍事・警察,刑罰をつかさどる)などがあった。部として,畿内やその周辺に居住する帰化氏族,その他を任ずる錦織部(にしこり∥にしごりべ)(絹織物の生産に従う),衣縫部(きぬぬい∥きぬぬいべ)(衣服の縫製に従う),鍛冶部(かぬち∥かぬちべ)(鉄と兵器の生産に従う),陶作部(すえつくり∥すえつくりべ)(陶器の製作に従う),鞍作部(くらつくり∥くらつくりべ)(馬具の製作に従う),馬飼部(うまかい∥うまかいべ)(馬の飼育に従う)などがあった。…

※「掃部」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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