大きくて味のよい果実を連年生産するために,結実した果実の一部を幼果のうちに間引くこと。果実の大きさや甘みは1果当りの葉数によって左右されるので,葉数に応じて結実数を調節しないと,品質の劣る小さな果実を数多く生産することになる。また果実数が多いと,葉で同化された炭水化物の多くが果実の肥大に消費されるので,花芽の形成が不良となり翌年の結実数が少なく,隔年結果が起こりやすくなる。果実の肥大に対する摘果の効果は早く行うほど顕著なので,リンゴ,ナシ,カキなど大きな果実が好まれる種類では,花やつぼみのうちに間引くことがある(摘花,摘蕾(てきらい))。摘果の方法には手による摘果と薬剤による摘果とがある。手による摘果では果実を選んで間引くことができ,摘果の程度を加減することができるが,薬剤による摘果では樹の状態や気象条件によって摘果の程度が左右され,年によっては摘果しすぎてしまう。しかし手による摘果には多くの労力が必要なので,近年では低濃度の摘果剤を散布して果実数をある程度減らした後,手による摘果を行うことがふえている。
執筆者:杉山 信男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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