花や野菜の栽培で,側枝の発達を促したり,草丈を制限したりするために,茎頂部を除去すること。茎頂部の生長点で生産されるオーキシンは下方に移動して側芽の発育を抑えているので,茎頂部を除去すれば数本の側芽が発達する。キクやカーネーションなどでは摘心を行い,数本の側枝を発生させて,1個体当りの切花数の増加を図っている。またベゴニア,アザレア,ポットマムのように草丈が低く,側枝の多い形が好まれる鉢植えの花では,このような草姿にするために摘心を行う。一方,メロンやシロウリなどのように親づる(主茎)上にほとんど雌花がつかないか,ついても結実しにくい種類では,親づるや子づるを摘心し,子づるまたは孫づる上の適当な位置の雌花を結実させる。また果菜類では摘心とともに,側枝をごく小さなうちに除去する作業(摘芽または芽かきという)を行う場合がある。摘心と摘芽を行うと,新しい葉や茎が形成されず,残された部分の葉は大きく厚く,色も濃くなって,開花,結実も良好になる。このため収穫までの期間が限られている場合には,摘心と摘芽を行うことによって収量を増加させることができる。
執筆者:杉山 信男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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