摘心(読み)テキシン(その他表記)pinching

デジタル大辞泉 「摘心」の意味・読み・例文・類語

てき‐しん【摘心/摘芯】

[名](スル)果樹などの頂芽を摘みとること。「―して果実生育をよくする」
[類語]摘芽摘果

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精選版 日本国語大辞典 「摘心」の意味・読み・例文・類語

てき‐しん【摘心・摘芯】

  1. 〘 名詞 〙 植物、特に果樹や果蔬(かそ)などで、生育中の茎または枝の先端生長点を摘み取ること。〔生物無生物の間(1956)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「摘心」の意味・わかりやすい解説

摘心 (てきしん)
pinching

花や野菜の栽培で,側枝の発達を促したり,草丈を制限したりするために,茎頂部を除去すること。茎頂部の生長点で生産されるオーキシン下方に移動して側芽の発育を抑えているので,茎頂部を除去すれば数本の側芽が発達する。キクカーネーションなどでは摘心を行い,数本の側枝を発生させて,1個体当りの切花数の増加を図っている。またベゴニア,アザレア,ポットマムのように草丈が低く,側枝の多い形が好まれる鉢植えの花では,このような草姿にするために摘心を行う。一方,メロンやシロウリなどのように親づる(主茎)上にほとんど雌花がつかないか,ついても結実しにくい種類では,親づるや子づるを摘心し,子づるまたは孫づる上の適当な位置の雌花を結実させる。また果菜類では摘心とともに,側枝をごく小さなうちに除去する作業(摘芽または芽かきという)を行う場合がある。摘心と摘芽を行うと,新しい葉や茎が形成されず,残された部分の葉は大きく厚く,色も濃くなって,開花,結実も良好になる。このため収穫までの期間が限られている場合には,摘心と摘芽を行うことによって収量を増加させることができる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「摘心」の意味・わかりやすい解説

摘心
てきしん
pinching

植物体の心芽を除去する剪定 (せんてい) の一種。果樹の場合は摘心によって新梢の生長をある程度押えると,果実の発育がよくなる。しかし摘心が強すぎると,副梢が強く伸びて果実にゆくべき養水分を奪い,落果が多くなる。人力による摘心の代りに生長抑制剤 (B9や CCCなど) を利用して新梢の徒長を防ぎ,果実の生理的障害の発生を防ぐ省力的方法が近年研究されている。摘心には生長を抑制して開花,結実を促進させるほか,たばこのように葉の品質をよくするためとか,大豆やささげなどのように側枝を発達させて結果数をふやす目的で行う場合などがある。

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