小切手の支払人(金融機関)が小切手金額の支払義務を負う行為(小切手法53条~58条)で、小切手の信用度を高めることを目的とする。小切手の表面に「支払保証」その他支払いをする旨の文字を表示し、日付を付して支払人が署名することを要する。また、支払保証は単純であることを要し、支払保証によって小切手の記載事項に加えた変更は、その記載がないものとみなされる。支払保証人は、すべての小切手所持人に対し支払義務を負うが、為替(かわせ)手形の引受人のように絶対的な義務でなく、呈示期間内に小切手の支払呈示があった場合および支払拒絶証書または支払拒絶宣言の作成手続がとられた場合に限り、支払いの義務を負う。ただし、銀行実務のうえでは、ほとんど支払保証は行われず、実質的に同じ効果をもつ自己宛(あて)小切手(預金小切手)の発行をもってかえられている。
[井上 裕]
小切手に関する制度。銀行(その他の金融機関)は,自己を支払人とする小切手が振り出されることにより小切手の所持人に対して小切手の支払をする小切手上の義務を負担するものではないが,支払人が小切手に支払保証の旨を記載したときは,支払人は,呈示期間内に小切手が支払のために呈示されることを条件として小切手の支払をする義務を負うことになる(小切手法55条)。これが支払保証であり,小切手の流通の円滑化を図るために利用しうるものであるが,最近の日本ではこの制度は実際にはほとんど利用されておらず,銀行が自己を支払人として振り出す自己宛小切手がそれに代わる機能を果たしている。自己宛小切手には銀行が自行の同一店舗を支払人として振り出す預金小切手と自行の他の店舗を支払人として振り出す送金小切手とがある。銀行の自己宛小切手は,銀行が振出人としての担保責任(〈小切手〉の項参照)を負うため,信用度が高い。
執筆者:中西 正明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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