支持電解質(読み)シジデンカイシツ

化学辞典 第2版 「支持電解質」の解説

支持電解質
シジデンカイシツ
supporting electrolyte

支持塩ともいう.ポーラログラフィーおよびボルタンメトリーにおいて,目的物質の電解に直接関係せず,電解電流から電気泳動による電流を除去するために,電解液中に過剰に加えられるべき難還元性あるいは難酸化性の電解質をいう.また,自身が直接電解に関与しないという意味から無関係電解質(無関係塩)ということもある.一般に,支持電解質の濃度は被電解物質の濃度の50~100倍当量以上であれば適当であるが,支持電解質の添加は電解液の伝導率をよくし,電解液中のiR降下を小さくする役目も果たしているので,ある濃度(0.1 mol L-1)以上であることが望ましい.支持電解質としては各種の酸,塩基および塩類が用いられるが,通常,酸としては,塩酸硝酸硫酸,過塩素酸,リン酸,および有機酸,塩基としては,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化リチウム,アンモニア,および有機塩基,中性塩としては,塩化カリウム塩化ナトリウム塩化リチウム塩化アンモニウム硫酸ナトリウム硫酸カリウム硝酸ナトリウム硝酸カリウム,過塩素酸ナトリウム,および有機酸の塩がよく用いられる.特殊なものとして,テトラメチルアンモニウムブロミドのような第四級アンモニウム塩(還元電位がとくに卑である)が用いられる.また,有機化合物電解還元の場合には水素イオンが関与するため,各種の緩衝溶液がそのまま支持電解質として用いられる.支持電解質の種類により,半波電位およびポーラログラフ波波形が異なることがあるので,目的に応じて適当な支持電解質を選択することが必要である.支持電解質の純度空試験によって検討しなければならない.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の支持電解質の言及

【ボルタンメトリー】より

…電解液の電気伝導率を高くするために,被電解物質の電解に妨げとならない電解質を高濃度(通常は0.01~0.5mol/l)に加える。この種の電解質は支持電解質と呼ばれる。有機化合物の電解は一般に水素イオンが関与するので,水素イオン緩衝溶液を加えて,電解液のpHを一定に保つことが多く行われる。…

※「支持電解質」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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