硫酸カリウム(読み)リュウサンカリウム(その他表記)potassium sulfate

デジタル大辞泉 「硫酸カリウム」の意味・読み・例文・類語

りゅうさん‐カリウム〔リウサン‐〕【硫酸カリウム】

カリウム硫酸塩無色結晶カリ肥料ガラス明礬みょうばん原料化学式K2SO4

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「硫酸カリウム」の意味・読み・例文・類語

りゅうさん‐カリウムリウサン‥【硫酸カリウム】

  1. 〘 名詞 〙 ( カリウムは[ドイツ語] Kalium ) カリウムの硫酸塩。化学式 K2SO4 無色・無臭の堅い結晶。速効性のカリ肥料とするほか、明礬(みょうばん)・ガラス・医薬品製造に用いる。硫酸カリ

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「硫酸カリウム」の意味・わかりやすい解説

硫酸カリウム
りゅうさんかりうむ
potassium sulfate

硫酸のカリウム塩。硫酸カリともいう。天然にはアルカナイトとして産出する。工業的には、カイナイトMgSO4・KCl・3H2O、ピクロメライトMgSO4・K2SO4・6H2O、キーゼライトMgSO4・H2Oなどの水溶液に塩化カリウムを加え、蒸発濃縮によって分離する方法で製造される。精製するには水から再結晶する。無色の結晶。結晶には二つの変態があり、斜方晶系は低温型で、587℃で六方晶系の高温型に転移する。水には溶けるがアルコール、アセトン二硫化炭素などには溶けない。カリウムミョウバンや臭化カリウムなどカリウム化合物の製造原料となるほか、ガラス工業の原料、医薬品などの用途があるが、カリ肥料としても重要なものである。ほとんど無臭で、各種の肥料と配合することができる。肥効は速効性で、硫安、過リン酸などとともに基肥となる。

[鳥居泰男]


硫酸カリウム(データノート)
りゅうさんかりうむでーたのーと

硫酸カリウム
  K2SO4
 式量  174.3
 融点  1069℃
 沸点  1689℃
 比重  2.67(測定温度18℃)
 結晶系 斜方
 屈折率 (n) 1.4947
 溶解度 11.11g/100g(水20℃)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「硫酸カリウム」の意味・わかりやすい解説

硫酸カリウム (りゅうさんカリウム)
potassium sulfate

化学式K2SO4。天然にアルカナイトarcaniteとして産する。そのほかカイナイト,ピクロメライト,ポリハライト,ラングバイナイト,レオナイトなどの複硫酸塩として岩塩鉱床中に見いだされる。無色斜方晶系結晶(β形),SO42⁻は正四面体で,S-O原子間距離1.50Å。588℃以上では六方晶系のα形となる。融点1069℃,沸点1689℃。比重2.662。水100gに対する溶解度7.35g(0℃),24.1g(100℃)。エチルアルコール,アセトン,二硫化炭素に不溶。工業的には,アメリカやヨーロッパではラングバイナイトやカイナイトなどを原料とし,塩化カリウムを加えた水溶液から複分解させて晶出させてつくる。日本では塩化カリウムを硫酸と750℃に熱するか,塩化カリウムと硫酸アンモニウムとの複分解などによってつくっている。そのほかトルエンからテレフタル酸ジメチルの製造,あるいはアセチレンから塩化ビニルの製造の際の副生品として大量に生産されている。純粋なものは飽和水溶液から再結晶によって得られる。カリ肥料として重要であり,工業用にはガラス製造,カリウムミョウバンの原料などとして広く用いられる。緩下剤として医薬品に,また試薬などにも用いられる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「硫酸カリウム」の意味・わかりやすい解説

硫酸カリウム【りゅうさんカリウム】

化学式はK2SO4。比重2.662,融点1069℃。無色の結晶。硫酸カリとも。水に可溶,アルコールに不溶。天然にはアルカナイトとして産し,工業的には塩化カリウムを硫酸と熱するか,キーゼリットMgSO4・H2Oと塩化カリウムの複分解によってつくる。ミョウバン原料とされ,またカリ肥料として重要。吸湿性は低く,配合肥料のカリウム源としてよい。土壌酸性化の度合は塩化カリウムより低い。
→関連項目カリ肥料酸性肥料

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

化学辞典 第2版 「硫酸カリウム」の解説

硫酸カリウム
リュウサンカリウム
potassium sulfate

K2SO4(174.26).天然にはカイナイト,硫酸苦土カリ石などの複硫酸塩として産出する.塩化カリウムと濃硫酸とを熱して得られる.無色の斜方晶系結晶.密度2.66 g cm-3.融点1069 ℃,沸点1689 ℃.水100 g に対する溶解度は7.35 g(0 ℃),24.1 g(100 ℃).エタノール,アセトン,二硫化炭素に不溶.カリウムミョウバン,ガラス工業の原料,カリ肥料,分析試薬,食品添加物,医薬品として用いられる.[CAS 7778-80-5]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「硫酸カリウム」の意味・わかりやすい解説

硫酸カリウム
りゅうさんカリウム
potassium sulfate

化学式 K2SO4 。無色結晶。空気中では安定。比重 2.66,融点 1067℃。水に可溶,アルコールに不溶。カリ肥料として重要であるが,塩化カリウムに比べて高価である。しかし肥料用としては吸湿性その他の関係から,本塩が歓迎されている。その他カリミョウバン,炭酸カリウム,ガラスなどの製造に使われる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android