硫酸のカリウム塩。硫酸カリともいう。天然にはアルカナイトとして産出する。工業的には、カイナイトMgSO4・KCl・3H2O、ピクロメライトMgSO4・K2SO4・6H2O、キーゼライトMgSO4・H2Oなどの水溶液に塩化カリウムを加え、蒸発濃縮によって分離する方法で製造される。精製するには水から再結晶する。無色の結晶。結晶には二つの変態があり、斜方晶系は低温型で、587℃で六方晶系の高温型に転移する。水には溶けるがアルコール、アセトン、二硫化炭素などには溶けない。カリウムミョウバンや臭化カリウムなどカリウム化合物の製造原料となるほか、ガラス工業の原料、医薬品などの用途があるが、カリ肥料としても重要なものである。ほとんど無臭で、各種の肥料と配合することができる。肥効は速効性で、硫安、過リン酸などとともに基肥となる。
[鳥居泰男]
化学式K2SO4。天然にアルカナイトarcaniteとして産する。そのほかカイナイト,ピクロメライト,ポリハライト,ラングバイナイト,レオナイトなどの複硫酸塩として岩塩鉱床中に見いだされる。無色斜方晶系結晶(β形),SO42⁻は正四面体で,S-O原子間距離1.50Å。588℃以上では六方晶系のα形となる。融点1069℃,沸点1689℃。比重2.662。水100gに対する溶解度7.35g(0℃),24.1g(100℃)。エチルアルコール,アセトン,二硫化炭素に不溶。工業的には,アメリカやヨーロッパではラングバイナイトやカイナイトなどを原料とし,塩化カリウムを加えた水溶液から複分解させて晶出させてつくる。日本では塩化カリウムを硫酸と750℃に熱するか,塩化カリウムと硫酸アンモニウムとの複分解などによってつくっている。そのほかトルエンからテレフタル酸ジメチルの製造,あるいはアセチレンから塩化ビニルの製造の際の副生品として大量に生産されている。純粋なものは飽和水溶液から再結晶によって得られる。カリ肥料として重要であり,工業用にはガラス製造,カリウムミョウバンの原料などとして広く用いられる。緩下剤として医薬品に,また試薬などにも用いられる。
執筆者:中原 勝儼
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K2SO4(174.26).天然にはカイナイト,硫酸苦土カリ石などの複硫酸塩として産出する.塩化カリウムと濃硫酸とを熱して得られる.無色の斜方晶系結晶.密度2.66 g cm-3.融点1069 ℃,沸点1689 ℃.水100 g に対する溶解度は7.35 g(0 ℃),24.1 g(100 ℃).エタノール,アセトン,二硫化炭素に不溶.カリウムミョウバン,ガラス工業の原料,カリ肥料,分析試薬,食品添加物,医薬品として用いられる.[CAS 7778-80-5]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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